METAGAME BREAKDOWN<第3回ハースストーンJAPAN CUP直前分析>
来たる7月17日(土)、18日(日)、『第3回ハースストーンJAPAN CUP』が開かれます。
日本人なら誰でも参加できて、参加賞まであるお得な大会ですが、どんなデッキで挑めばいいか悩んでいる方もいるんじゃないでしょうか。
そんな方のために、成熟しきった「大荒野」のBo3環境を紹介します。
これさえ読めばデッキに迷う必要なんてありません!!
と言いたいところだったのですが、JAPAN CUPの直前にプリーストから2枚、ドルイドから1枚のカードがナーフされることが予告されました。ここで紹介する現在のBo3環境はガラッと変わる可能性があります。そこを踏まえてお読みください。
構成に迷っている方、流行を踏まえて新構成を開発したい方、なんとなく大会環境に興味ある方、の助けになれば幸いです。
まず前提として、この環境はプリーストを中心としてメタゲームが回ってきました。強力なデッキであるプリーストを多くのプレイヤーが採用しており、その存在を無視することはできません。つまり、私たちに残された選択肢は二つ、「プリーストをBANする」か「プリーストを倒す」か、どちらかです。
プリーストは現在41%のマッチでBANされており、2位の急襲ウォリアー(11%)を大きく引き離しての圧倒的なBAN率です。多くのプレイヤーが「プリーストをBANする」ことを選択しているのがこのBAN率からわかります。死者蘇生、猛毒スコーピッド、手相占いなどによるテンポ損しないリソース獲得手段、光の雨のエレメンタル、神格化による回復、ヒステリー、ザイレラ、魂の鏡による全体除去、深き淵の神ンゾスによる大量展開、コンボ殺しの精神与奪者イルシア、と現在のコントロールプリーストはかなり隙のないデッキになっています。
これに勝つためには専用の対策を徹底したデッキを揃える必要があるため、「プリーストをBANする」ことでそこは諦め、他の幅広い相手に強いデッキを揃えたものがTier1構成になっています。ただ、逆に言えばこれだけ強いデッキなのでほとんどのプレイヤーはプリーストを持ってきます。そこを狙ってプリースト対策を徹底させることで成功した構成をTier2、Tier3として紹介します。
Tier1 コントロールプリースト+急襲ウォリアー+α プリーストBAN構成
サンプルリスト tibolt#1129 第48回予選優勝
デーモンハンター
プリースト
ウォリアー
サンプルリスト Orange#23456 第67回予選優勝
ドルイド
プリースト
ウォリアー
環境の王者プリーストと、プリースト以外のほとんどのデッキに有利な急襲ウォリアーを擁した構成。現環境を定義する、基本の構成といって差し支えないでしょう。7月2日~4日の20回あった予選のうち、なんと半数を超える12回もこの構成が優勝しています。圧倒的かつ支配的、Tier1のお手本のような存在です。
三デッキ目にどのデッキを採用するかが様々なパターンがあるので、それぞれのメタゲーム上の採用理由を紹介します。
①OTKデーモンハンター
上記にあるのでリスト省略
OTKデーモンハンターはその有利マッチの多さが最大の魅力です。アグロデッキに対しては全体除去、大量回復があり、攻めの緩いコントロールデッキに対しては回避不可能なバーストダメージがあり、ほとんどのデッキに対して有利な立場をとっています。ミニセット「慟哭の洞窟」で追加された貪り喰うものミュターヌスはこのデッキにとっての明確なキラーカードではありますが、その程度の逆風はものともしない、強力なデッキです。
ただ、プレイ難度がとても高く、使用者のプレイスキル次第でパワーが大きく変わる暴れ馬タイプであることには注意。どのカードを除去に使うか、回復に使うか、バーストダメージに使うか、その見極めがこのデッキのカギです。手綱を握る自信があるか?
②マリゴスドルイド
上記にあるのでリスト省略
環境末期に突然湧き上がってきた新デッキ。マリゴスドルイドの最大の魅力は急襲ウォリアー、OTKデーモンハンターに大きな有利を取れていること。急襲ウォリアー、OTKデーモンハンターの説明で「ほとんどのデッキに有利」と締まりの悪い表現になったのはこのデッキの存在が大きいです。両デッキとも大型ミニオンの処理が苦手なため、マナ加速戦略のドルイドがメタ上の立ち位置がとてもよくなりました。
二週間続けて予選の勝率一位を記録しており、Bo3環境において、今最も旬なデッキと言って間違いないでしょう。RNGびっくり玉手箱、運命の支配者ヨグ=サロンを使えることもこのデッキの魅力の一つです。功徳を積んでいる自覚がある人は、ぜひこのデッキを使いましょう。
③トークンドルイド
マリゴスドルイドが急襲ウォリアーとOTKデーモンハンターを狙い撃つなら、そのマリゴスドルイドを最も得意とするのはトークンドルイドです。ドルイドは全体除去を苦手とするため、トークン戦略に対抗することができません。
「大荒野」環境は、コントロールプリースト、急襲ウォリアー、OTKデーモンハンター、ミラクルローグの4デッキが環境を支配していただめ、その4デッキを苦手とするトークンドルイドは長らく日陰に生きていました。しかし、マリゴスドルイドの台頭によってゆがんだメタは、トークンドルイドに陽の光を届けています。羽虫の羽ばたくときが来ました。
④ミラクルローグ
ミラクルローグもマリゴスドルイドの台頭が追い風となったデッキです。デッキパワーは高いのですが、急襲ウォリアー、OTKデーモンハンターと、テンポローグが苦手とする2デッキが環境に多く(プリーストはBANするので無視するとして)、メタ上の立ち位置はよくありませんでした。マリゴスドルイド、さらにはその対策のトークンドルイドが増えたことで、ドルイドに対して強力な教団の新入会員を有し、使い回しまでできるテンポローグはその立場を取り戻しつつあります。デッキのコンボ要素が強いため分回りがあり、展開次第ではどんな相手もタコ殴りにすることが可能です。
また、この構成の亜種として、第三デッキ候補の中から2つを選び、プリーストかウォリアーと入れ替えるパターンも存在します。特にプリーストはターゲットにされやすいため、デッキは強いけどあえて使わないことは以下に紹介する「プリーストを倒す」構成と戦う際に有効な戦略です。
Tier2 アグロシャーマン+クトゥーン入りコントロールプリースト+スペルメイジ(+断末魔デーモンハンターなど) プリーストメタ構成
サンプルリスト Ronak#11268 第69回予選優勝
メイジ
プリースト
シャーマン
こちらは「プリーストを倒す」ことを目指した構成になります。
粉砕されしクトゥーンを入れることで対プリースト性能を底上げしたコントロールプリーストに、盤面を無視して武器でダメージを出すアグロシャーマン、呪文でダメージを出すスペルメイジで構成されます。現在のプリーストはヒステリー、ザイレラ、魂の鏡などといった盤面を大きく取り返す除去手段があるうえに、サムロー、神格化コンボの大回復まであるので、盤面にミニオンを並べて殴り切るのは困難です。盤面以外から打点を出せるこの構成なら、王者プリーストにも引導を渡すことができます。
聖職者ヅラしたプリーストの顔面をぶちのめしたい方は、この構成で思う存分鬱憤を晴らしましょう。
Tier3 ン=ゾス入りコントロールプリースト、コントロールウォリアー、チケッタスウォーロック プリーストメタ構成
サンプルリスト Jin#35398 第74回予選優勝
プリースト
ウォーロック
ウォリアー
Tier2で上げたものが「攻め」のプリースト殺しとすれば、こちらは「守り」のプリースト殺し。
前述したクトゥーン入りのプリーストに加え、チケッタス、ロードジャラクサスという対コントロール最終決戦兵器を擁し、プリーストに対して最も強いチケッタスウォーロック、豊富な除去手段と粉砕されしクトゥーンによってロングゲームに強くなっているコントロールウォリアーの構成。王者プリーストに対して、デッキ切れまで見越した超ロングゲームで戦います。
「慟哭の洞窟」によってアグロ性能の高いアグロシャーマンが生まれ、立ち位置が悪くなっていましたが、マリゴスドルイドの隆盛が追い風となっています。マリゴスドルイドはデッキ内のバリューが限られており、コントロール構成は容易に受けきることが可能です。
聖職者ヅラしたプリーストの苦しんでる姿を延々と眺めていたい方は、この構成で思う存分鬱憤を晴らしましょう。