ナクスラーマスの思い出 – Dean Ayala

ナクスラーマスの思い出 – Dean Ayala

ゲームデザイナーのDean Ayala氏が、ハースストーン初の拡張セット「ナクスラーマスの呪い」に収録された、いくつかの強力なカードについて語りました。

「ナクスラーマスの呪い / Curse of Naxxramas」はハースストーンにおける最初の拡張セットで、2014年7月22日にリリースされました。ハースストーンの正式リリースが2014年3月11日でしたので、リリースはその約4か月後。4か月というのは今の拡張セットのサイクルと同じですが、誰でも参加出来るオープンベータは1月から開始されていましたので、Blizzard Entertainmentがリリースしたカードゲームに熱狂するユーザーを約半年間待たせた、待望の拡張セットでした。

メタを大きく変えた「ナクスラーマスの呪い」のカード群は非常に強力で、4年以上前のリリースにも関わらずワイルド環境では今だ多くのカードが現役です。

原文:On this day in Hearthstone (27 January 2015) – Undertaker nerf announced! “Oh, goody!”


Dean Ayala:墓堀り人はまだ私の笑いのタネになっています。

「ナクスラーマスの呪い」は小さな拡張セットでした。私が最初に取り組んだ拡張セットでもあり、愛情を込めてデザインの内情についていくつか振り返ろうと思います。

墓堀り人(Undertaker)

バランスという意味では、ただただ失敗作と言わざるをえません。

墓堀り人を採用したウォーロックでプレイテストを多くこなしたことを覚えています。理由は、当時ウォーロックがズーなどの横に並べて盤面を少しずつ強化していくデッキで最も成功していたからです。

そのデッキも十分強かったのですが、ハンターにマッドサイエンティストと組み合わせて入れたことでゲームが壊れました。

私たちもアンダーテイカー入りのハンターを試していましたが、その強さに気が付くことが出来ませんでした。当時はコンテンツデザインチームが4人しかおらず、次の拡張セット(ゴブリンvsノーム)とナクスラーマスの呪いのシングルプレイヤー部分も担当していたため、テスト時間が十分でなかったのです。今のコンテンツデザインチームは大きくなっています。

 

断末魔ミニオン召喚時に+1/+1されていたものが、攻撃力のみ+1に弱体化

※当時、フェイスハンターと呼ばれたアグロデッキが大流行し、ゲーム全体の25%をこのデッキ1つで支配しました。騎士団リリース時にドルイドが環境を支配したことを覚えている方も多いと思いますが、それでも”ドルイド全体で25%”だったことを考えると、どれほど強力だったかが想像できると思います。

以下の画像は、当時よく見られた光景。

 

デスロード(Deathlord)

元々は2/6というステータスだったため、そこまで強くはありませんでした。最終的には2/8になり、環境のバランスを調整する私の好きな良いカードの一つに成長しました。

このような特殊な効果を持つカードをただ強いカードにせず、程よいバランスで作るのは難しいものです。結果的に、アグロデッキがとても強い環境では多く採用されましたが、採用されない時期もあるいいバランスになったと思います。

 

マッドサイエンティスト(Mad Scientist)

これまでに作成した最も強いカードの1枚ですが、作成時にそれは理解していました。

このカードでいくつかの新しいデッキが生まれ、プレイヤーはスペルベンダーや蛇の罠などの秘策の採用にも興味を持ちました。

私はマッドサイエンティストが基本カードやクラシックセットの良い例にはなるとは思いませんが、スタンダードから去るまでとても良い仕事をしたと考えています。

 

ヘドロゲッパー(Sludge Belcher)

ナクスラーマスの呪いのプレイテストでは、アグロデッキが非常に強力だったため、それに対抗するためのカードがいくつか必要になると感じていました。

爪のドルイドが挑発ミニオンとして定番カードとなっており、それよりも少し強いカードを作成しました。私たちは中立の強力な挑発カードが好きだったので、よく作成しています。

例えば、
マジウザ・オ・トロン、ストーンヒルの守護者、タール・クリーパー、躯の駆り手、サロナイト鉱山の奴隷、ジリアックス、変・クリーパー、チルモー、始祖ドレイク、…含み笑う発明家。
私たちが考えていたほど強くはなかったカードもありましたが、こんな感じです。

 

ヴォイドコーラー(Voidcaller)

私にとってうれしい、良いカード例です。ただ、今のハースストーンで作ろうと思うカードではありません。

断末魔の発動によって悪魔が召喚されるというリスクと、ミニオンを破壊しなければならないという状況から考えられるブラフ合戦が、私は大好きです。また、悪魔を中心に組むデッキというコンセプトに役立てたことも、このカードが好きな理由です。

先に述べた「今のハースストーンで作らないだろう」と言ったのは、このカードによって起こった序盤におけるマナの踏み倒しと、ヴォイドコーラーからマルガニスが出現するという阿保らしい事象が起こる可能性があるからです。平均的なデーターを見る限りでは問題はありませんでしたが、ユーザーが「不公平だ、つまらない」と思ってしまうことはあるので、気を付けなければなりません。

 

訳:ahirun