開発者Dean Ayalaインタビュー(2020年10月)

PCGamerに掲載されたインタビューを開発者 Dean Ayala氏のコメントを抜粋・翻訳して紹介します。バランス調整で行うカードの弱体化と強化についての考え方やデーモンハンターの今後、そして前回バランス調整された大魔女ウィローをサポートするカードの示唆などについて語られています。

ソース:How the hell did Hearthstone’s meta get so healthy?


– 135枚全てのカードが使われるようなセットのデザイン

Dean Ayala:ゲームバランスが今の状態になっている理由の半分は、チームが時間の経過とともに上手くいっている結果と言えるでしょう。135枚全てのカードが使われるようなゲームバランスにするのは非常に困難ですが、私達のチームは調整を行うのが本当に上達しています。ハースストーンから学ぶべきことは、4ヶ月ごとのメジャーリリースはBlizzardのどのゲームよりも、頻繁に学ぶことができるということです。現在は、忙しさが増しており、バトルグラウンドやメジャーパッチなどで、様々な経験を得ています。

7つ、8つ前の拡張セットであれば、実際にプレイされないであろうことがわかっているカードを入門者や闘技場向けに20~30枚作っても大丈夫でした。しかし、現在は135枚全てのカードについて採用の可能性を考えて欲しいと思っています。


– バランス調整、強すぎるカードの弱体化

トートランの巡礼者 バランス調整守護獣 バランス調整

Dean Ayala:私達は問題に対処するために、すぐにバランスパッチを作成する傾向があります。これにより、健全なメタゲームを簡単に作成できます。あまりに強力すぎるデッキがあったとき、1コストのカードや、それだけでゲームを終わらせるカードを弱体化していますが、それはプレイヤーからの直接的なリアクションがあるからです。

強すぎるカードは、それを引いたゲームと引かなかったゲームとで決まるため、それをプレイしているプレイヤーにとっても、自身のプレイが重要でないように感じられてしまいます。そのため例外的な強さを持つカードがあれば、それらをトーンダウンさせています。

また、通常、バランスパッチの作成には、数週間前から準備を行っています。


– デーモンハンターの調整とこれから

Dean Ayala:リリース直後のデーモンハンターは、これまでリリースした中で最も強力なものだったと思います。

カードを弱体化するたび、ある程度の見落としがあったことは否めません。デーモンハンターに関しては、リリース時のパワーの高さに少しがっかりしてしまいましたが、すぐに修正できました。この時は3、4枚のカードを変更しましたが、かなり小さな変更でした。

私達は、デーモンハンターのリリース前に、楽しいと思うクラスにしようと多くの時間を費やしました。そして、楽しいと思うものを見つけましたが、アーキタイプ自体は私達が望んでいたような形にはなりませんでした。

魔法学院スクロマンスのリリース後に現れた欠片デーモンハンターを使うと、沢山の回復を持っているため後半戦に強いことに気づくと思います。それまでのデーモンハンターとは違った感じでしょう。

将来的には、デーモンハンターには、まだ存在しない、大型のミニオンを使ったコントロールデッキがほしいと思っていますただ、現在のデーモンハンターにアグロと欠片の2種類のタイプの異なるデッキがあることには満足しています。


– バランス調整、カードの強化

Dean Ayala:カードの強化で成功するのは、非常に難しいのです。

カードの強化は、そのカードを使ったデッキをプレイしたい人にしか影響せず、強いカードの弱体化は全プレイヤーに影響があります。そして、強化の効果はとても低いのです。1つの弱体化と同じ影響を与えるには、10回の強化が必要になります。

通常行うカード強化は小さな変更ですが、将来的に多少は使えるカードになる見込みがあり、そのクラスの活躍に貢献します。今で言えば、次の拡張セットに向けてシャーマンをもっと強力にするためになにか変えられることはないか等、シャーマンの現状を色々と見ています。

大魔女ウィロー_アップデート

Dean Ayala:最近強化を施した大魔女ウィローについて話しましょう。

時間が経つに連れ、このままでは大魔女ウィローをプレイするのはかなり難しいことがわかってきました。特にウォーロックは、ゲーム後半までサポートするカードがあまりありません。ただ、この点は間違いなく強化するつもりです。

大魔女ウィローに適したサポートカードを追加した途端に、突然別のデッキが出来上がっるでしょう。そしてそれは「ウィローデッキ」と呼ばれると思います。大魔女ウィローは、それを中心にデッキを構築しようとするようなカードですね。


– カードを生み出すカード

名状しがたきガラクロンド Galakrond the Unspeakable

Dean Ayala: 私達は、常にある程度はカードを生み出すカードを作っています。

“発見”は、どのセットにも収録していますが、かなり評判が良かったメカニズムで、ハースストーンをより楽しくするものだと思っています。とはいえ、今後の拡張セットではかなり控えめにしています。

最近のコントロールデッキは、29枚の入れ替え可能なカードと1枚の無限にリソースを生み出すカードで構成されています。コントロールデッキは、このような1枚のカードを入れて、それ以外のカードで大量に除去をするのではなく、デッキに採用した様々な脅威をプレイする方が楽しいものです。