Tansoku選手:マスターズツアー優勝インタビュー(2022年8月)
2022年8月13日~8月15日にかけて行われた「マスターズツアー・ナスリア城殺人事件」を優勝したTansoku選手にインタビューを行いました。優勝した感想、デッキ構成の狙い、ハースストーンの魅力などについて伺いました。
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マスターズツアー・ナスリア城殺人事件優勝
Q. 優勝おめでとうございます!まずは、優勝した感想を教えてください!
Tansoku: なんだろう…大きな大会で優勝したのは初めてなので「嬉しい」としか言えません。
実は「決勝で負けるんじゃないか」と思っていたんです。これまで参加した大型大会では、例えば2017年のJAPAN MAJORでも決勝戦でPingPinghoに破れたりして、今回も負けるんじゃないかと考えていました。
でも今回は優勝できて、8年間ハースストーンをやってきたことがやっと報われたな、という気持ちです。
Q, Tansoku選手自身国際大型大会の優勝は初めてだと思います。決勝トーナメントはどんな気持ちで臨んでいましたか?
Tansoku: 実はあまり知られていないのですが、大きな国際大会に挑戦したのは2014年のBlizzCon予選が初めてで、あと1勝でBlizzConが見えていたんです。今回もそうなってしまうんじゃないかな、という気持ちはあって、メンタル的に少し消極的になっていたかもしれません。その後に参加した2016年のラストコールや2018年の夏季選手権も、あと1歩が届きませんでした。
しかも僕は配信台での勝率がとても悪くて、終盤は早く楽になりたい、という気持ちがあったかもしれません。Day3のD0nkeyとのメイジVSプリーストの試合では、その「早く楽になりたい」という気持ちから、必要のないところで大魔術師のルーンを打った場面もありました。いざというときは、手札の氷風でなんとかなり、もっと盤面にミニオンが並んでしまうと、大魔術師のルーン+氷風で解決できなくなるとも考えていましたが、メンタル面も大きかったと思います。
マスターズツアーでの優勝はとても嬉しいです。ただ、次のシーズン選手権で勝ちたいという気持ちのほうが強く、勝ったという実感はそれほどありません。これまで世界選手権出場権を後少しというところでを3回も逃しているので、今回こそ勝ちたいです。
Q. マスターズツアーの前に事前の練習会があったと聞きました。そこではどんなことをしましたか?また、その成果・感触はいかがでしたか?
Tansoku: 今回は4年近く一緒に調整しているNAGONさんに加えて、眠たげなクマさん、katagamiさんと一緒に調整をしました。眠たげなクマさんは本当に上手で、デッキ構築についても沢山アドバイスを貰えました。時にはリプレイを観ながら「1ターン目はここが駄目、2ターン目はここが駄目…」みたいに言われることもありましたね笑
あとは、Pony Dojo※という練習のグループですね。Pony Dojoに参加したことで僕の勝率は飛躍的に向上しています。Pony Dojoでは模擬大会のようなことが連日開催されていて、パートナーのNAGONさんと一緒に考えたことを、その模擬大会で確かめていたんです。いつもはNAGONさんと練った作戦をぶっつけ本番で持ち込んでましたが、今回はYoutubeの投稿もお休みして、Pony Dojoでの対戦に専念しました。
その結果、pony dojoでの模擬大会の成績はとても良くて、okasinnsukeさんからも「Tansokuさん、模擬大会の成績良かったね。今回はいけると思っていた」なんて言われましたね。
※pony dojo:国内外の強豪プレイヤーが集まる練習グループ
Q. 今回のマスターズツアーはいつもより自信がありましたか?
Tansoku: ありました。LambySeriesのローグ(テンポローグ:通称ランビーローグ)が大会の直前に見つかって、本当に強いデッキだと感じていました。実は大会直前まで全く違う構成を考えていたんですが、このローグのために全体の構成をガラっと変えたほどです。それほど強いデッキだと感じていましたし、僕の手にも馴染んだので、勝てるかなと思っていました。
この大会で唯一負けたのはスイスラウンドでのWEStoneとの試合で、そのときはローグをBANされたんですよね。それ以外はローグが本当に活躍しました。
LambySeriesには何かお礼をした方がいいかもしれません笑
Q. 今回持ち込んだデッキ構成の狙いを教えてください。
Tansoku: 全てデッキパワーが高いデッキを選びながら、アグロデッキに強い構成にしました。
ただ、メイジだけナーガプリーストなどにちょっと弱い面がありました。なので、今回は集団動物変身を採用しました。本来不利なマッチアップだと思うのですが、これ1枚で覆すだけの力があると思っています。ブリザードの2枚採用もあって盤面で戦ってくる相手に強くなっています。
集団動物変身の採用はNAGONさんのアイデアだったと思います。本人は採用していませんでしたが笑。
全体としてはナーガプリーストやインプウォーロックをソフトメタ(対策)したような構成に仕上がりました。本当に強い構成に仕上がったと思います。リストも構成も最高だったと思います。
インプウォーロックにダマラセヒトデを2枚採用したところも、メイジの凍結対策として活躍しましたね。
シャーマンは大体BANされました笑。
Q. Day3では、ベスト16でposesi選手と対戦、決勝戦でglory選手と対戦ということで、日本人同士の対戦がありました。特にglory選手とは2018年の夏季選手権に一緒に参加した仲でもあります。対戦にあたって何か特別な感情はありましたか?
Tansoku: posesiに対しては何にもないですね。「ぶっ倒してやろう」という気持ちだけでした笑
gloryさんとは、2018年の夏季選手権に敗れた後、一緒にハンバーガーを食べながら「また来年頑張ってアメリカに来よう」という話をしたんです。その後、gloryさんはグランドマスターズになって、世界選手権も優勝して、ということで「差がついてしまったな」と感じていたところもありました。でも今回、大きな舞台で勝てたことでその差が少し縮まったのかな、という気がしています。この後のシーズン選手権、世界選手権と勝って、更にその差を縮めたいですね。
また、実はアジア太平洋地域の選手や日本人選手にとても勝率が良い面があって「いけるかなぁ」と思っていました。日本人の二人だけでなくMERO(韓国)との試合も苦手意識はなかったです。
ただ、決勝のgloryさんには少し苦手意識があって怖い存在でした。でも、gloryさんも僕に対して苦手意識を持っているみたいなんですよね。試合前にそんな感じのDMを貰ったんです。このDMのおかげでリラックスして対戦に臨めました笑
Q. 今回のマスターズツアー優勝で秋季選手権への出場権を獲得しました。秋季選手権2022への意気込みをお願いします。
Tansoku: 世界選手権に向けての4回目の挑戦ですから、もう負けられないな、という気持ちです。絶対に勝ちたいです。
以前は大型大会ではとても緊張してしまって実力を発揮できなかったのですが、最近はだいぶ緊張しなくなってきたので、いけるかな、と思っています。
Tansoku選手とハースストーン
Q. Tansoku選手がハースストーンをはじめたきっかけを教えてください。
Tansoku: インターネットに流れてきた広告を見て「楽しそう」と思ったのがきっかけです。
カードゲームは小学生の頃にデュエルマスターズをプレイしていて、店舗大会にも参加するくらいはプレイしていました。そんな感じでカードゲームに興味はあったので、プレイしはじめたのきっかけです。
Q. ハースストーンの魅力は何だと思いますか?
Tansoku: 最初の頃は、闘技場を遊びながらカードを集められるコレクション要素が気に入っていました。
そしてよく言われることですが「運が良ければ強い人にも勝てる」のが良い点だと思います。誰でも強豪プレイヤーにも勝つチャンスがある、というのは楽しい点だと感じています。
ゲームの中身もそうですが、イラストも好きです。あとはお爺ちゃんになっても遊べるかな、っていうのもいいですね笑
Q. 2016年のラストコールや2018年の夏季選手権など、今までも大きな舞台を経験してきたかと思いますが、その頃と今とではハースストーンに対する取り組み方に違いはありますか?
Tansoku: 全然違います。昔はランク戦を回しているだけである程度適当に考えても勝てたと思うのですが、今は統計データを見たり、調整グループ(デッキを調整したり、練習をするグループ)を作って熱心に練習したりしないと勝てなくなりました。
昔はそもそも調整グループというものがありませんでしたが、今は大会で優勝するプレイヤーはデッキの調整や情報を共有するグループに属していてその中で練習しています。
僕自身も調整グループに入って練習するようになりました。僕はデータを見るのが苦手なので、NAGONさんに頼ったりしています。
Q. 長い間ハースストーンを続けているモチベーションの源は何ですか?
Tansoku: 世界大会で勝ちたい、という気持ちです。
今年は世界大会出場も狙えるところにいますし、それが一番のモチベーションだと思います。
逆に今年世界大会に出場できて優勝したらどうなっちゃうんだろう、なんて思ったりもしますね笑
昔ほどプレイ時間は多くないですが、配信をよく見るようになりました。おやつさんの配信が一番好きです。
Q. ファンの方にメッセージがありましたらお願いします!
Tansoku: ずっと応援し続けてくれている皆さんには「ありがとう」という気持ちしかありません。
秋季選手権も頑張りますので、応援よろしくお願いします!