先週末のハースストーン・グランドマスターズについて [訳:rikapi]
blitzchung選手がグランドマスターズのインタビューで政治的発言を行い、グランドマスターズから除名され、賞金の没収を受けた件について、Blizzardから公式声明が発表されました。
今回の件では、中国を意識して罰則を行ったのだろう、懲罰が重すぎるなどの批判が、Blizzardに向けて多く発信されています。
その多くのコメントを受け、この度Blizzard Entertainmentの社長であるJ・アレン・ブラック(J Allen Brack)氏からメッセージが出ました。
この度rikapiさんから翻訳文を頂きましたので、ここに掲載します。
blitzchung選手がGMから除名された件の発端などは、こちらにまとめています。
(blitzchung選手が政治的発言によりGMから降格処分)
以下、翻訳文となります。
先週末のハースストーン・グランドマスターズについて
ブリザード・コミュニティの皆さんこんにちは…
先週末のハースストーン・グランドマスターズの話をしたいので、数分頂戴します。blitzchung選手が月曜日に行われた弊社の公式放送中に、香港で今起こっている事情に対する彼の見解を発表した事に対し、彼と2名のキャスターに処罰を行う判断を下しました。
ブリザードの描く未来には「偉大なエンターテインメントにより、世界をひとつにまとめる」というものがあります。それを実現するため、「Think Globally(グローバルに考える)」、「Lead Responsibly(責任を持って導く)」、そして重要なのが皆さんの見解を重視する「Every Voice Matters(全ての声は重要である)」を、基本的な価値観として共有しています。先週末に我々が取った行動により、人々は我々がこの価値観を未だに守れるのかどうか疑いはじめました。我々は確実に守れていますし、それを今から説明します。
我々のeスポーツ部門は、我々の描く未来と価値観を表現する方法のひとつです。eスポーツは様々な文化や背景を持つ世界中の選手が集い、競い合ったりゲームに対する情熱を分かち合う場として存在しています。このシナリオとそれが担う意図『偉大なエンターテインメントにより世界をひとつにまとめ、選手を褒め称え、多様性があり全てを包括するコミュニティを作る事』を守るのは、とても重要なのです。
今回の件について、これらの価値観がどう応用されたか
一つ。eスポーツ大会の勝利者インタビューで、我々の公式大会配信が彼の意見を世界に発信する演壇として利用されました。
我々は競技において頂点に立つ選手の気持ちを伝えるためにインタビューを行います。その勝利の瞬間を彼らと一緒に体験したいのです。彼らの興奮を聞く事は我々をひとつにまとめる強力な方法だからです。
先週末の勝利者インタビューにおいて、blitzchung選手はその時間を使い、香港情勢に対する声明をあげました。これは彼が承知し、理解したルールに違反する事であり、それを元に我々は行動を起こしたました。
「全ての声は重要」であり、コミュニティのみなさんが自己表現の為に使える様々な場所を利用し、
自分の意見を発信する事は奨励します。しかし、公式配信は大会そのものに関する事である必要性があり、全ての人を受け入れる場所でなくてはなりません。その事を維持するためにも、公式放送はゲームに焦点を絞りたいと考えています。
二つ。これらの配信においてキャスターの役割とは?
我々がキャスターを雇用する理由はゲームの興奮や感動を倍増するためです。試合を視聴しやすくし、大会と素晴らしい選手に焦点を当てたeスポーツ観戦体験を促進します。
三つ。我々の行動理由ははメッセージの内容のせいだったか?
「グローバルに考える」、「責任を持って導く」、「全ての声を重要とする」とは、世界ほぼ全ての国に選手やファンが居ると認識する事です。我々の目的は我々のゲームへの情熱などの共通点を利用し選手達を繋げるのを助長し、共有できるコミュニティだと言う感覚を創り上げる事です。
blitzchung選手が示した特定の意見は今回の判断を決める基準ではありません。これは明確にしておきたいのですが、我々の中国との関係性は今回の判断に全く影響を与えていません。
これらのルールがある理由は全世界の視聴者のためにゲームと大会に焦点を絞るためであり、今回は判断をするにおいて、その事のみが考慮されています。
反対側の意見が同じように意図的かつ不和を招くような方法で出されていたとしても、我々は同じように感じ、同じような判断を下していました。
さて、どうすればブリザードはより手際よく反応できたでしょう?それと、これから先どうする?
ここ数日の間、何人もの選手、キャスター、eスポーツファン、そして社員が今回の処罰を決めた方法について懸念を示しました。我々も一回立ち止まり、コミュニティに耳を傾け、どうすればより手際よく反応できたか反省しました。後知恵となってしまいましたが、我々の処置は適切ではなく、気の早すぎた対応でした。
我々は全ての選手が安全かつ包括されていると感じる環境を保証しつつ、ルールや進行方法は明確にするべきです。これはブリザードの重要な価値観の一つである「Play Nice; Play Fair(親切にプレイしよう;公正にプレイしよう)」の為です。
大会そのものではblitzchung選手の試合は公正に行われました。よって、今となっては彼は賞金を受け取るべきだと感じています。皆さんの一部にとってはこの問題は賞金の事ではなく、人によっては賞金の話をする事は無礼だと感じるかもしれません。そして、それは我々の意図ではありません。
公正にプレイすると言う事は、試合前後の品行も含まれます。これは特に選手が配信中に勝利した時、表彰される事を受け入れた時に言える事です。謹慎処分の事を考えると、blitzchung選手には6ヶ月の方が適正であると感じているので、その期間が過ぎた後なら、彼が望む限りハースストーンの競技シーンに再度参加することが出来ます。会話を大会の目的から反らし、放送を混乱・脱線させる事にはそれなりの対価があるわけです。
キャスターにおいては、彼らの目的は放送の焦点を大会に当て続ける事だと思い出してください。今回はそうならなかったので、我々は彼らの謹慎期間も6ヶ月と設定する事にしました。
これから先も我々の公式配信は不和を招く社会・政治的見解を述べる場でなく、ゲームに焦点を絞る事を保証するように大会ルールを用います。
ブリザードの目標の一つは世界中の全ての選手が政治的見解、信仰する宗教、人種、性別、その他の考慮すべき事柄に関係なく、我々のゲームを遊んだり競技に参加する場合は常に安全かつ歓迎されていると感じられるようにする事です。
ブリザードではいつも耳をかたむけ、改善する方法を探しています――それが社内文化の一部だからです。我々が学び続ける間の皆さんの辛抱に感謝しています。
敬具
J・アレン・ブラック
ブリザード・エンターテインメント社長
原文:REGARDING LAST WEEKEND’S HEARTHSTONE GRANDMASTERS TOURNAMENT