ベン・ブロードがハースストーンの謎にお答え

ベン・ブロードがハースストーンの謎にお答え

ITや科学系のニュースを提供している Ars Technica が企画した、ハースストーンの謎にベンが答えるという動画が投稿されました。

以下、すべての質問と回答の日本語訳です。

 


― 実際には作らなかったけれど、最も変なカードのアイデアはなんですか?

実現には至らなかった変なカードは沢山あります。”The world flipper”は画面を上下逆さまにしてしまいます。そのため、正常にプレイするには頭も逆さまにしないといけません。”Mechanical chicken”はマウスカーソルを載せたプレイヤーにダメージを与えます。また、3/1/1で「連敗している数だけ+1/+1」するというカードも考えました。これなら3/600/600も可能ですよね。でも…あまりにもイカれてるので止めました。

 


― 今はいくつの拡張セットに関して仕事をしていて、それぞれどれくらいの段階にありますか?

ウィッチウッドをリリースしたので、それは終了しました。次のセット(詳しくは言えませんよ)に関しては最終デザインのプロセスでバランス調整をして、楽しいものにしている段階です。更に次のセットは最終デザインに入ったところです。そして、来年リリースするセットは、今着手したところです。セットのテーマやカードのデザイン、新しいメカニズムなどを考えています。なので、基本的には3つの拡張セットについて私達は知っています。(皆さんは知りませんが!)

 


― カードのデザインはテキストが先ですか?それともカードのテーマが先ですか?

私達は”トップダウン”と呼ばれるデザインのカードと、”ボトムアップ”と呼ばれるデザインのカードの両方の手法でカードをデザインしています。先にテキストが来るのが”トップダウン”です。例えば「ロード・ジャラクサスは無くてはならないよな!」となって生まれるパターンです。逆に”木霊”というメカニズムから様々なカードを作る、これは”ボトムアップ”デザインです。どちらも重要です。

 


― テストプレイでは見つけられなかったコンボをプレイヤーが見つけたことはありましたか?

はい、いつもそれの連続です。フリーズメイジやミラクルローグというハースストーンのクラシカルなデッキもその一部です。最近ではこんなコンボがありました。”ウンゴロ探検”を使って、自分のデッキを変換してから、”キング・トグワグル”を使い、デッキを相手に渡します。その後で待ち伏せのガイスト”で相手のデッキを全て破壊するのです。

 


― ハースストーンのミニオンはどのように名付けられていますか?

いくつかのミニオンはWoW(World of Warcraft)から来ていますので、そのままの名前を付けています。名前がないキャラクターは、どの拡張セットのカードか、どのクラスのカードか、がわかりやすいにように考えています。1単語にすることでニックネームにしているカードもあります。例えば”シェルシフター”や”サメグマ”などです。

 


― 最適な環境というのは9クラス全てがTier 1のデッキを持っている時でしょうか?

そう思います。ですが、その環境の実現は非常に難しく、多分不可能でしょう。なぜならプレイヤー達は、強力なデッキが生まれると今度はそのデッキを標的にしたデッキを生み出します。そのようにしてメタは移り変わっていき、最強のデッキというのはいつも標的にされています。新しいデッキは、時に環境の末期にも生まれたりします。私達はプレイヤーが新しいデッキやコンボを生み出す機会を作っていきたいと思っていますし、だからこそ9クラス全てがTier 1のデッキを持つ、という環境の実現は難しいのです。

 


― “栄誉の殿堂”はどれくらい重要ですか?

非常に重要です。年の移り変わりでは、新しい楽しさや大きなメタの変動があります。新しいセットで、非常に楽しいカードが出たとしても、既存のカード(クラシックセットのカード)があまりにも強かったらどうでしょうか。ワイルドフォーマットには既に非常に強力なカードやコンボが存在し、そのパワーレベルは高いです。一方スタンダードのパワーレベルを考えると、クラシックセットのカードの中には、私達が面白いカードを考えるのに障壁となってしまうパワーのカードがあります。だからこそ、私達はそれらのカードを”栄誉の殿堂”入りするのです。

 


― 思ったより影響が少なくて驚いたカードは何ですか?

私達はカードにある程度のパワーレベルを設定しています。強いにせよ弱いにせよ、10%くらいの誤差は度々あります。一つの例は”虚ろのヴァリーラ”です。1ターン無敵(実際は隠れ身)になり装甲を得るという守備の効果とバリューの高い効果を持っており、テンポローグなど攻撃的なローグにも大きな影響を与えると思っていましたが、そうでもありませんでした。

 


― ゲームボード上で、最も凝った秘密はなんですか?

1つ挙げたいのは(アドベンチャーモードでの)リッチキングとの対戦です。リッチキングは此方のクラスに応じた特別な効果を発動してきます。プリーストの時は、”Shut up, priest!”という呪文を使って、此方のエモートを禁じてきます。では、プリーストが1ターン目に”思念透視”をして、リッチキングに”Shut up!”してみましょう。すると、リッチキングもエモートをすることができなくなり、二人してモゴモゴしあいます。大魔境ウンゴロのゲームボードでは、ある規則に則ってボードをクリックすると火山を爆発させることができます。最初はあるプレイヤーが偶然爆発させたのですが、その規則を一生懸命に探し出し、火山を爆発させるためのメロディを見つけ出しました。

 


― WoWからキャラクターを登場させるのか、全く新しいキャラクターを作成するのか、はどのように決めていますか?

私達はWoWが大好きです。色々なレイドに参加したりヒロイックなモードにもチャレンジしてきました。なのでWoWからキャラクターを登場させるのはとても楽しく、多くのキャラクターはWoWから登場しています。ただ、私達が新しくキャラクターを作成することもあります。それはクラスを新しく表現したいときなどです。例えば、ローグの新しいレジェンドミニオンを作ろう!となっても、WoWには適切なキャラクターが存在しないことがあります。その時は現実の世界から探してきます。また、ハースストーンにおけるレクサーは弓矢を持っている姿で描かれていますが、実はWoWでは弓矢を持って登場することはありません。

 


― クラシックセットから毎年カードが失われていったらどうなりますか?

“栄誉の殿堂”に関しての質問ですね。私達は、ワタリガラス年の開幕と同時に何枚かのカードを”栄誉の殿堂”入りにしました。これは毎年スタンダード環境を新しく、新鮮なものにしたいからです。だからこそスタンダードフォーマットは存在しています。例えば、メイジは既に複数のカードが”栄誉の殿堂”入りしているので、クラシックセットにメイジのカードを追加しようかと考えています。でも、それには最新の注意を払っていて、非常に強力なカードは追加したくありません。なぜなら、また同じことの繰り返しだからです。例えば、”粉砕”はいい例だと思っています。とても強いカードではありませんが、ミニオンを凍結して戦うというメイジのスタイルを伝えるのに役立ちます。”栄誉の殿堂”入りも年を重ねていけば、クラシックセットがパワフルでありながら常に新しいデッキを生み出すようになり、最終的には”栄誉の殿堂”入りするカードがなくなるのではないか、と考えています。

 


― “疲労”ダメージのメカニズムはどのように生まれたのですか?

これは面白い経緯があります。テストプレイの段階で、Jeffというプレイヤー(Overwatchのディレクター)がプレイを開始しました。彼はミニオンをプレイしたりしてとても楽しんでいました。そして、勝利までもう少し!というところで、相手のターンが終わり、次に彼が手にしたのは”負け!”でした。彼のデッキが無くなったのです。多くのカードゲームでは、デッキ切れ=負けとなったりします。それ以降新しいカードを得ることができないからです。ですが、Jeffのプレイを見ていた私達は何か別の方法を考え始めました。それで生まれたのが”疲労”メカニズムでした。あと少しで勝てる!という状況から疲労ダメージで勝つこともでき、そしてゲームが進むにつれ、そのゲームは着実に終わりに近づいていく、というメカニズムです。

 


 

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