「BlizzCon2023」開発者インタビュー
BlizzCon2023にて、ハースストーン開発者へインタビューを行いました。
インタビューに応じてくれたのは、エグゼクティブプロデューサーのNathan Lyons-Smith氏と、ゲームディレクターのTyler Bielman氏です。
なお、後半に開発者に対して厳しい質問がありますが、基本的には終始和やかな雰囲気でインタビューを行っています。
– Activision BlizzardはMicrosoftに買収されましたが、ハースストーンにはどんな影響がありますか。
Nathan:直近での影響はないでしょう。私もそれを望んでいます。ただ、買収はほんの数週間前の出来事ですので、実際にどうなるかはわかりません。
先日、Microsoft GamingのCEOであるPhil Spencer氏がBlizzardの本社まで来て「これから新しいゲームを作っていくことに、とてもワクワクしている」という話をBlizzard社員にしました。
今回の件でBlizzard社全体が鼓舞され、チームの雰囲気も良くなりました。
私は、MicrosoftとBlizzardがチームを組むことで、ポジティブな未来が待っているだろうとワクワクしています。
また、Mircorsoftが入ってもプレイヤー重視という基本方針は変わりません。
Tyler:私はBlizzard入社前にXboxのチームと12年ほど働いていたので、また彼らと働けることを嬉しく思いますし、XboxのチームとBlizzardのチームが一緒に働くことで、更にクリエイティブさが発揮されるのではないかと考えています。
– ミニセット「ウルドゥアーの興亡」では、構築にもBGにも「異常」システムが追加されました。競技シーンのことを考えると、難しい決断もあったと思います。これからもこのようなゲーム性を変える大胆な取り組みを続けていくのでしょうか?
また、「異常」を追加したことにより良かった点や悪かった点があれば教えてください。
Nathan:まず、ハースストーンにいつも期待していることは「プレイヤーが成長すること」「プレイヤーを驚かせること」「コレクションのカードを新しい斬新な方法で使わせること」です。
今回の「異常」は、ヨグ=サロンのストーリーに沿ったものにしたいと思いつつ実験的に導入しました。
また、導入に際しては、期間を限定すること、コミュニティの声を聞くこと、データを確認することを念頭に置き、その中でも、競技シーンに関するコミュニティの意見は特に注視していました。
データについては、「異常」導入後にハースストーンに対するエンゲージメントの増加が確認できています。
期間限定で消えてしまうシステムですが、皆さんに興味を持ってもらえたのは良かったと思います。
競技シーンに関わる点は常に考慮していますし、高いスキルが必要なものでありたいと考えています。
– 日本は構築の世界チャンピオン、バトグラでもロビーレジェンド優勝者をそれぞれ複数排出しており、熱心なプレイヤーが多い国です。それなのに、昔から日本向けのサポートが不足していると皆が感じています。
例えば、日本公式のフォーラムでは返信がなく、英語公式の発表から日本語の発表には大きな時間差があり、英語でしか提供されないパッチ情報があったりします。このようなサポート体制を変えるつもりはありますか?
Nathan:計画済みのニュースは世界同時に発信されるべきなので、これに関しては日本担当チームにもっとスピーディーな対応をしてくれるよう伝えます。
ただ、デザイナーなどが突発的にSNSで発信するような情報については、私たちも翻訳家をたくさん抱えているわけではないため、どうしても公式の声明として発信することはできません。
コミュニティの方々が翻訳して拡散してくれることについては本当に助けられています。
その上で、重要な情報については開発者個人ではなく、世界に同時に伝わるように公式から発信するよう心がけます。
– 同様に約2年前、日本限定でバトルグランドの切断が頻発するという問題がありました。
色々あって解決に向けて努力するとの公式声明が出ましたが、その最初の公式声明から解決するまでの約半年間、調査中とも改善したとも全く音沙汰がない状態が続きました。このようなユーザーを放置する対応をやめてほしいです。
日本のプレイヤーは公式が対応してくれないことが当たり前だと感じており、声を上げることを止めてしまっています。
Nathan:あの時は、コロナ化でネットワークが混雑し、特にアジア太平洋地域の回線を強化が必要な状態になっていました。
そのインフラの強化に時間がかかってしまったこと、そして、その情報共有ができなかったことは申し訳ないと思っています。
先の件も含め、現状では英語以外の地域からユーザーの声を集める体制がうまく機能していないため、今後改善していきます。
– 最後に、来年の競技シーンには期待できますか?
Nathan:まだお伝えできることはありません。12月に行われる世界選手権が終わった後で、良い知らせができればと思っています。