【開発者コメント】ベン・ブロードが語る「カジュアル」の意味

「ハースストーンのボス”ベン・ブロード”が与えてくれた「カジュアル」の意味」と題してVentureBeatに投稿されたゲームディレクター、ベン・ブロード氏のインタビュー記事の抜粋です。

掲載元:https://venturebeat.com/2017/10/09/hearthstone-boss-ben-brode-gives-me-new-insight-on-what-casual-means/(VentureBeat)

– ゲームデザイナーにとって「カジュアル」とは何でしょう?

あなたの言う「カジュアル」は、ハースストーン内の「カジュアル」ですか?それとも、ゲームの根本にあるものを指していますか?

 

– ゲームの根本、コンセプトにおける「カジュアル」についてです。

理想と現実があると思いますが、理想としては賭け金の低い博打のようなものでしょう。失うものもなければショックを受けることもありません。真剣にやる必要は無いものです。止めたいと思ったら直ぐにやめればいい。それが「カジュアル」なハースストーンを実現するための、大きな目標です。

 

– なるほど、私の考えとちょっと違いましたが面白いですね。

もしかして、ファンデッキ(勝つことだけを目的としないデッキ)で遊べるモードやメタデッキ(強力なデッキ)を気にしなくてよいモードを考えていましたか?

 

– はい。メタデッキで戦うのはそのうち飽きてしまいますので。

その点について、いくつかの統計データを持ってきましたので、お話しましょう。

マッチメイキングレーティング(対戦の指標にするプレイヤースキルのデータ。以下MMR)というものがあります。MMRは、勝つと上がり負けると下がります。例えば、あなたが新規プレイヤーであれば、相手に新規プレイヤーを選ばせ、同じ熟練度のプレイヤー同士で対戦させるようMMRは調整されます。また、そのようなプレイヤーはカード資産も少ないことも考慮しなければなりません。

カジュアルモードで何度も勝利するとあなたのMMRはどんどん上がります。あなたが勝てば勝つほど強いデッキと対戦することになり、また、そのデッキは良いデッキとみなされて同じデッキを使っている他のプレイヤーのMMRも上げます。

ただ、カジュアルモードで勝ち数が少なければメタデッキには当たらないでしょう。どんなデッキに当たるかはMMRによって異なります。

 

– カジュアルモードにMMRが適用されているのは知りませんでした。

何度も対戦していればあなたの勝率は50%になるはずです。50%以下で負ければMMRは下がります。極端な話、あなたの熟練度やデッキ、対戦相手のデッキは関係ありません。勝利50%になるよう、あなたのMMRが調整されるのです。

代わって、ランク戦の話です。あなたは、海賊ウォリアーと秘策メイジがメタデッキだと言っていましたね。(訳者注:インタービューの日付が無いので時期は不明ですが、ウンゴロ後期の環境と思われます) レジェンド帯はそれぞれ14%程存在していますが、ランク20では合わせても5%しか存在していません。殆どのアクティブプレイヤーはランク18から20におり、そのため、ハースストーン全体で見ると「メタデッキ」はそれほど多いものではないのです。ただ、レジェンドプレイヤーは3回に1回は遭遇していることになりますが。

あなたがどのランクで遊んでいるかによって状況は変わりますが、少なくとも低いランク、またはMMRが低い状態でカジュアルモードを遊んでいるのならば、同じデッキを何度も見ることはないはずです。

 

– 「カジュアル」が何かという流れの中で、賭け金の低い博打という定義が出ましたが、それはあなたと開発チームの共通認識でしょうか?

そう思います。ただ、「カジュアル」が「メタデッキ」と遭遇しない場ということは一つの目標ではありますが、それだけではありません。私があなたの考えに最もそれに適していると考えているのは、炉端の集いです。炉端の集いではトーナメントを除き、勝つことだけを目的に対戦することはあまりありません。みんな、思い思いのデッキを持ち込んで、見せ合っているのです。ランク戦とは全く違い、集まった20人がそれぞれ違うデッキで遊んでいる、これがあなたの考えに近いものではないでしょうか。

 

– プレイヤーがメタデッキに囚われずに、色々と試すことが出来るランク戦を作る予定はありますか?

そうですね、考えたことはあります。私がそのような環境を理想としているのは本当です。みんな楽しんでくれるでしょう。ただ、どうすれば実現出来るのかが分かりません。プレイヤーがランク戦をファンデッキで遊ぶ仕組みをどのように作ればよいのでしょうか。

例えば、ファンデッキモードを作ったとしましょう。勝つ必要はありません。勝つことが厳しいモードでもありません。みんな、勝つつもりはありません。プレイヤーにはそれぞれの楽しみ方があり、「古のものの血族」を合体させるのが好きだったり、4体の「魔法使いの弟子」と「大魔術師アントニダス」で無限ファイアーボールのコンボがやりたいだけだったり。そして、幾人かのプレイヤーは勝つことが好きです。私は負けることが嫌いで、出来るだけ勝ちたいと思っています。これらの人々を一緒にプレイさせるとどうなるでしょう?ある人は「これはファンデッキモードだ!」と言いますが、またある人は「私は海賊ウォリアーで勝つのが好きなんだ。これが私のファンデッキ(楽しいデッキ)なんだ。」と言います。

プレイヤーにただ楽しいだけのデッキを強制させる方法はありません。人によって好みが違うのです。かつて祓い清めを入れた沈黙プリーストはファンデッキの一つでしたが、強力なメタデッキの一つとして存在するようになりました。

 

– ですね。私もメタデッキになるとすぐ興味が無くなりました。

でしょ?(笑)あなたは、独自デッキで遊びたいのでしょう。

デッキの強さは刻々と変化します。全く新しいメタデッキを発見することもあれば、ファンデッキから2枚カードを変えるだけでメタデッキになりうることもあるでしょう。そのような状況で、ファンデッキだけで遊ぶモードを作るのは難しいと思います。私は、カジュアルモードもランク戦もランクによっては近いものになると思います。このようなモードを否定しているわけではなく、一つの在り方として考える事はいいことですが、実現が難しいのは確かです。

 

– プレイヤーが好きに作れる、特定のカードを禁止した大会モードを用意することは可能でしょうか。

素晴らしいアイディアですね。コミュニティが運営する大会のアイディアは、私も大賛成です。ちなみに、それと似たアイディアは既に行われています。私が参加した炉端の集いでは、炉端の親父/女将がクレイジーな企画を用意していました…それは、くじ引きを行ってデッキを選ぶというイベントです。そこには競い合いはなく、純粋に楽しむ喜びがありました。私たちはそんなプレイをサポートしたいと考えています。

 

終わり

訳:ahirun

 

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