開発者のDean Ayala氏がコミュニテイの質問に回答(1月21日)

開発者のDean Ayala氏が自身のTwitterにて、ユーザーからの質問を募り、それぞれに回答しました。

1月14日にも開催された突発イベントでしたが、今回も多くのユーザーから質問が集まりました。翻訳(一部、意訳)して紹介します。1月14日分は以下の記事を御覧ください。

<< 開発者のDean Ayala氏がコミュニテイの質問に回答(1月14日)>>

Dean Ayala氏のTwitter: @IksarHS


Q: ワイルドオープン(公式大会)もなく、バランス調整もなく、ワイルドのコミュニティは、全体的にやや無視されているように感じます。ワイルドの今後について、何か計画はありますか?

A: 私達にとってのワイルドとは、ゲームバランスを変え、バランス調整をするような場ではありませんでした。ワイルドは、往年のデッキをプレイするためのモードなのです。

私達は、ワイルドを楽しいフォーマットであり続けたいと思っていますし、時々極端に崩れたバランスにも対応してきましたが、ワイルドはバランス調整を頻繁には行わないようデザインされており、フォーマットへの配慮が欠けているわけではありません。

その結果、無視されているように感じたのだと思います。もしワイルドがスタンダードと同様のポジションに置かれたのなら、拡張セットごとにカードを10~15枚程度変更することになるでしょう。

本当の問題は、古いデッキを維持するという目標と、頻繁に変化するメタを保つという目標の、どちらが重要かということです。両方を達成するのは、かなり難しいのです。135枚の新カードは、ワイルドのカードプール全体の中での割合は小さく、ワイルドへの影響は限られます。時間が経てば経つほど、その影響は小さくなります。

メタの変化を望む人には、スタンダードが向いている、という考えもあります。ワイルドを、カードを変えただけのスタンダードと同じタイプ場所にすると、昔のデッキをプレイしたいと思う人の行き場がなくなってしまうのを心配しています。

とはいえ、それで解決されたとは思いません。ワイルドに対して、どのようなアプローチを行うかは、チーム内でも意見が別れています。今の所は、バランスという点では去年と同じようなアクションを想定しています。

ただ、スタンダードとは目標が異なるため、同じようなアプローチはしません。私達がこのような視点を持っていることを理解していただけると幸いです。


Q: ワイルドについて、アップデートを得る機会はありますか?

A: ワイルドは、スタンダードのようなバランスが取れた体験を得る場とは考えていません。基本的には、あなたが好きな過去のデッキをプレイできる場所であるべきと思っています。

デッキが大多数の人にとって不愉快な経験をさせてしまうような状況になってしまった時に、私達が踏み込んで変更を加えることもありますが、スタンダードに比べるとその基準は少し高めに設定されています。


Q: ワイルドには、定期的なバランス調整が用意されていますか?わざと高いパワーレベルにしていることはわかっていますが、3つのデッキがメタを席巻しており、小さな変化であっても、皆が喜ぶと思います。

A: ここ1、2年に行ったワイルドへのアプローチは、私達の考えがどこにあるかを示していると思います。ワイルドは、変化し続ける場所ではないと考えています。私たちは、昔のデッキを愛していて、ただそれらをプレイし続けたいと思っているプレイヤーを、尊重しています。

Q: この質問の問題点は、99%のデッキに勝てるデッキが存在するため、自分の好きなデッキをプレイすることができない、ということです。自分の好きなデッキが使えないこの状況が、あなたの考える目標であるのなら、このモードは壊れています。

A: 「自分の好きなデッキをプレイしたい」という意見が正しいかどうか、ワイルドのプレイヤーに調査をしたいと思っています。環境の変化が起こり、異なるデッキが常に存在するような体験を望んでいる人もいるでしょう。

そのような意見を持っているのは、あなた1人だけだとは思っていません。自分の好きなデッキがあり、それで遊びたいと思っているプレイヤーは、他にもいるでしょう。最強だとか最弱だとかは、気にしない人たちです。

私達は、ワイルドをカードが違うだけのスタンダードにしたいとは考えていません。ただ、競争力を求めるプレイヤーが、それを望んでいるというのはわかっています。


Q: バトルグラウンドからカドガーを削除して下さい。多くのプレイヤーがカドガーを好きなことも知っていますが、ゲームを台無しにしています。

カドガー | Khadgar

A: カドガーの削除の代わりに、トークンを1つ削除することを考えていますが、いわゆる切断テクニックについても、解決策を話し合っています。(再接続後に戦闘を見ることになるか、または他のプレイヤーの対戦を待たなくてはならないようにするなど)

特に、この議論が頻繁に行われている中国コミュニティでは、問題になっていると認識しています。


Q: ミニセットはあなたにとって、ゲームに何を追加していますか?そして、それにはどんな課題がありますか?

A: ライブサービスゲームとして、アップデート期間が4ヶ月というのは長すぎると思います。「砂漠の悪霊、裁くの苦慮」(※2019年10月に開催されたワイルドカードの復活イベント)のようなイベントも試してみましたが、期待するような効果は見られませんでした。ミニセットのリリースでは、それらを超える高い効果を期待しています。

与えられた課題はシンプルです。カードが増えるということは、プレイヤーに資産を要求し、開発の製作コストがかかり、ゲームには複雑さが増すということです。

資産の問題は、改善された報酬システムとミニセットの適切な値段で解決したいと思っています。製作コストの問題の解決は難しいのですが、何名か素晴らしい人材を採用できています。

開発コストは、カードデザイナーだけでなく、リリースをサポートする多くの人材も必要になります。私達は素晴らしいチームワークを持っていますが、正直に言えば、この点はまだ改善途中です。

そして、ゲームの複雑さについては、年間を通じて、以前よりも多くの要素を導入しないようにしています。つまり、ミニセットでは通常の拡張セットのように、新しい奇抜なキーワードを追加することは、ほとんどありません。


Q: 個人的に好きなヒーロースキンはありますか?今後、他のスキンに絶対変えないというスキンはありますか?

ン=ゾス

A: ン=ゾスです。


Q: 「ダークムーン・レース」の、ハンターのカードへの考えが気になります。どれもかなり弱く、面白みのないカードばかりに思えます。

A: これについては思うところがあり、少し様子をみてからまた考えます。


Q: ミニセットを固定価格で売ると決めた時、どれだけ興奮しましたか?

A: 滅茶苦茶興奮しました。


Q: 最初に読む本は決めましたか?(※先日Ayala氏がTwitterで皆に質問していた)

A: Ender’s Gameにしました。


Q: 古いカードが、現在の環境に合わせて更新されることはありますか?例えば、ロード・ジャラクサスは、他のヒーローカードとは異り、それらのカードに比べて体力が少なくなっています。

ロード・ジャラクサス Lord Jaraxxus

A: うーん……。はい、私達はやると思います。予定にはありませんが、古いカードを調整するつもりですし、今までも調整してきました。


Q: あなたが見たいと思う最大の変化は何ですか?

A: プレイヤーのお金を楽しさに変えるような仕事が、あまりうまく出来ていません。Heroes of the StormやLeague of Legendsでは、キャラクターを購入して、更に楽しむという遊びが実現できています。

持っているカードですぐ楽しめたり、1ボタンのクリックで遊べるモードを作ってみたいと思っています。デッキを作る行為はは難しく、それを楽しんでいる人がいるのは嬉しいことですが、デッキ作成は楽しい時間を過ごすための必須条件ではないと思います。


Q: 好きな”かわいい”カードはなんですか?

変身者ゼラス | Shifter Zerus

A: 変身者ゼラスです。以前在籍していたアニメーションディレクターが、ゴールデン版のアニメーションを作ってくれましたが、それにはいつも驚かされます。彼は、私がプロデューサーとして仕事をした中で、恐らく最も才能のある人でした。


Q: 今のハースストーンと数年前のハースストーンにおいて、仕事上の大きな違いはなんですか?

A: プレイヤー全員のことを考慮して、設計を行わなければなりません。新しいプレイヤーのための設計と、経験豊富なプレイヤーのための設計は異なります。

初期の頃は、全て新しいプレイヤーばかりだったので、ゲームバランスやアップデートはその人たちに合わせていました。今では、何年もプレイしているプレイヤーが沢山います。

新規プレイヤーや経験の浅いプレイヤーもいますが、全体からみれば少数です。新規プレイヤー向けの設計が重要なのは変わりませんが、今は世代向けに異なる設計を行っています。

プレイヤーは、YoutubeやTwitch、redditなどで、遂次情報を得ることができます。それらは、複雑なモード、メカニズム、アップデートの量に大きな影響を与えています。

仕事の面では、チームが巨大になったことが挙げられます。ハースストーンに従事している人たちを全員を知らないのは、不思議な感じです。開発チームのメンバーが25人位の時に採用されたのですが、そのときのメンバーは3人になってしまいました。ただ、今では100人のチームになりました。

新しい人、新しいリーダーシップ、新しいアイデアが常に出続けています。教育側に立つこと、新しい考えを受けいれることを切り替えながら、学び続ける必要があります。ハースストーンは大成功を収めていますが、歩みを遅らせ、現状に満足するようなことを、私たちは受け入れていません。

私達は、以前の私達を超えたいのです。素晴らしい拡張セットを作ることは、その手段ではありません。素晴らしい拡張セットを作ることは、私たちの最低限の仕事であり、今あるものを維持するためのものです。

現状をどう維持するかではなく、今あるものを超え、新しい世代のプレイヤーにどうアプローチするかを考えています。非常に難しい課題ですが、それに従事するのはとても楽しいです。


Q: ハースストーンを設計するにあたり、好きなものとその理由を教えて下さい

A: おそらくランキングとマッチメイキングシステムで、私はこのオタクです。どちらのシステムにも、取り組むたびに新しいことをたくさん学べますし、いろいろな人達と一緒に仕事をすることができます。どちらも多くのゲームで非常によく見られるものですが、アプローチの仕方は全く異なります。


Q: reddit、HearthPwn、OutofCards、CustomHearthstoneなどのファンコミュニティは、ゲームデザインプロセスにどのような影響を与えたのでしょうか?

A: 正直、私にはよくわかりません。開発者は大抵自分の作ったゲームの大ファンなので、自分が好きなゲームのコミュニティには、自然に参加しようとするでしょう。ですので、そこに参加し、書き込みを読んだり、人と話したりすることで、自分の考え方が変わるはずです。

しかし、このような限定された集まりからのフィードバックには、それを全プレイヤーのフィードバックだと、思いこんでしまう危険も存在しています。

ただ、どちらかといえば、情報の拡散が非常に早いことの影響が大きく、少し複雑なデザインを行うようになったと思います。20年前なら、ゲームを理解する前に辞める人も多かったのですが、今ではgoogle検索をするだけで、沢山のガイドが見られます。また、メタが非常に早く進化するため、アップデートの頻度にも影響を与えています。


Q: 闘技場を再構築する予定はありますか?(ドラフトシステムや報酬など)

A: これは、本当にやりたいと思っています。闘技場は内部レートなどによるマッチメイキングシステムが使われていない、というコアな問題を抱えていて、新しいプレイヤーも上級者と当たってしまいます。報酬システムが枷(かせ)となっているのですが、将来的には報酬も変更し、スキルによってプレイヤーをマッチメイクする事ができるようになると思います。

スキルベースのマッチメイキングシステムを実現しつつ、現在の闘技場プレイヤーを満足させる方法を考えなくてはなりません。これについてのコミュニティからの意見は、大歓迎です。

私は、これらを真っ先に考えなければならないと、本気で考えています。心配しているのは、新しい仕組みによって現在の闘技場プレイヤーのほとんどが楽しめなくなり、一部の熱心なユーザーを疎外してしまうことです。ただ、成長と成功を成し遂げるには、変化せざるを得ないかもしれません。


Q: カード裏面デザインはどれも素晴らしいですが、「このカードバックは2月用だね」等は、どうやって決めていますか?

御伽噺
御伽噺

A: これは私が答えられるものではなく、@LinusFlink の領域ですね。

A (Linus Flink氏):去年私達が特別に作成したものは、「魔法学院スクロマンス(Juyoung作)」だけです。

私達は基本的に、アーティストのアイディアに締め切りを設定します。私達は、小さなリストを作り、そこから選びます。2020年4月の「紅潮キノコ」は、CharleneとNickがアニメーションを作り、Charleneが完成させました。「鯉の終わり」はWill Muraiが作成してくれたもので、以前よりリストにありました。「御伽噺」は私達が配信で作成したデザインですね。


Q: 私のLeague of Legendsの好きなところは、定期的なパッチノートです。ハースストーンでも毎週火曜日に「開発者の洞察」をリリースするのはどうですか?

A: 私達はすでに、もっと頻繁に更新する体制に入っています。しかし「毎週」は多く感じます。頻繁なバランス調整も好きですが、メタはまだ健全な状態です。そして、「どうせBlizzardがすぐに変更してしまうから、新しいデッキを作るのは無意味」という状態にはしたくありません。

私達は、自分たちの考えを多数発信していますし、私はデザインについて話すのが大好きですが、それにどれほどの価値があるのか分かりません。プレイヤーは何が起こっているのかを知りたいのであって、何故そうなっているのかを知りたいわけではないと、私は考えています。

開発チームとして、私達はプレイヤー全体のために仕事をする責任があります。個人の投稿は、プレイヤーが望んでいるかには関係なく、特定の人に向けたものになります。ですので、その特定の人にそぐわない回答をすると、人を怒らせてしまうこともあります。それでも私にとって、個人の投稿は価値があると思っています。開発者とプレイヤーの関係が良いものになれば、プレイヤーの望む本当の議論がしやすくなるでしょう。

その関係性が構築されていないと、問題が発生した際に、非常に難しい状況に陥ってしまいます。私はRiotのコミュニケーションのとり方を尊敬していますし、彼らが彼らの会社のやり方でコミュニケーションを取るのは正しいことです。

ハースストーンでも、私達はより多くのコミュニケーションを取ろうとしています。そして、本当に重要なのは、一貫性を保つことであり、一度のQ&Aではありません。その一貫性を通じて、プレイヤーとの関係性を発展させることができるかどうかは、私達にかかっています。


Q: 影宝石商ハナー精神与奪者イルシアのような、コストの割にネガティブな経験をさせてしまうカードを、改善する計画はありますか?

精神与奪者イルシア/Mindrender Illucia

A: 精神与奪者イルシアは意地悪なカードです。以前も同様の質問に答えましたが、課題はバランスを保つことです。精神与奪者イルシアチケッタスで意地悪をするために、ハースストーンをプレイする人もいます。私達は、彼らのために意地悪なカードを作っています。

少数派のプレイヤーが遊びつつ、ハースストーンを支配するほどの影響力を持たないことを理想としています。ハースストーンで、精神与奪者イルシアが最高のカード!という世界は、私達が滅茶苦茶にしてしまった世界だと思います。

Q: ハースストーンに関係ないことですが、フィリピンにいるAyala一族とは関係がありますか?ショッピングモールや不動産を多数所持している、裕福な一族です。

A: もしそうだったらいいのに…。(お父さん、お母さんごめんなさい。二人を愛していますが、私たちが富豪だったらよかったのにとちょっと思ってしまっただけです)

Q: 頻繁にローテーションを行うフォーマットを考えたことはありますか?このモードが実現すれば、ワイルドのTier1デッキに付き合う必要がなくなり、過去の拡張セットをアピールする絶好の機会になると思います。

A: 正直なところ、私はこのようなモードに疑問を感じています。新しいモードを作るのなら、新しいプレイヤーにも優しい設計にしたいと考えています。

数週間でローテーションを行い、頻繁に変わるメタカードをプレイヤーに強要するのは、フレンドリーな設計ではありません。デュエルではそれを行っていますが、構築よりはプレイヤーへの負担を抑えられています。

私たちは、既に楽しいと思う2つの新しいモードを用意しており、今後も沢山作り続けますが、遊びやすさについては真剣に考える必要があります。

かなり前にローテーションを行うフォーマットを考えたこともありましたが、初期段階で頓挫しました。

Q: ドラゴン年には、1年を通じて連続したストーリーがありましたが、フェニックス年にはありませんでした。何故でしょう?

A: 私たちは複数の拡張セットで連続したストーリーも作りますし、個々に完結したストーリーも作成します。連続したストーリーを作るのは楽しいですし、それをまた見る機会もあるでしょう。

ただ、同じような1年を通したストーリーを用意したいとは思っていません。これらは、数ある取り組みの一つだと考えてください。

Q: 中国のハースストーンクライアントが持っている統計機能を実装する予定、もしくは、以前行っていた毎月の統計を復活させる予定はありますか?また、中国のハースストーンクライアントにある、トーナメントモードについてもどう考えていますか?

A: 私たちは現在、プレイヤーのプロフィールをどう表示するか、模索している段階です。それに価値があることは理解していますが、どれだけの機能を与えればよいのかまだ分かっていません。細かい数字だけの羅列は望ましくなく、バトルグラウンドの統計ぐらいがよいのかもしれません。

トーナメントモードについての予定はありません。もっと’esports’的なことをやりたいと思っていますが、それらについて答えることはできません。答えることができないというのは、秘密にしているわけではなく、単に何も言うことがないという意味です。

Q: カードのアニメーションをデザインするとき、アニメーションの長さとカッコよさのどちらを重視しますか?ゲームが複雑になるにつれ、これらが大きな影響を与えている気がします。

A: (Dominic氏の回答)私たちは、常にそのことを考えています。特に、レジェンドのアニメーションや、急襲や発見などは、最長1秒未満にすることを心がけています。ただ、秘密の通路のような特殊なカードには、特別なアニメーションも用意しています。

私達FXチーム(アニメーションチーム)には、特にこの手のフィードバックが多く寄せられます。あなたが言ったように、ゲームは複雑化しており、私たちにとっての挑戦となるでしょう。


元となるDean Ayala氏のツイート