【開発者コメント】ハースストーンの新しいメタとケレセス公爵(前編)

パッチ後の環境やメタについての開発者コメント(前編)

「Mike Donaisが語るハースストーンの新しいメタとケレセス公爵」と題してPCGamerに投稿されたゲームデザイナー、マイク・ドナイス氏のインタビュー記事の抜粋です。

掲載元:Mike Donais on Hearthstone’s new meta and why Keleseth is crazy (but not broken)(pcgamer.com)

 

– カードデザインを最終的に決めるチームは普段どのように活動していますか?

最終デザインチームは4人で活動しており、それぞれ異なる仕事内容と作業日を担当しています。出来る限り多くのテストプレイを行うことを目標にしており、打ち合わせやカードの再設計など様々な業務を行っています。

私たちは最終段階に達したカードを手に入れた後、様々なデッキを試します。時には極端なシナジーに焦点をあてたデッキをプレイすることもあります。それが強いデッキでないと分かっていても、隠されたシナジーを見つけるため(環境が壊れるようなデッキをプレイヤーが見つけることもあるため)本当に沢山のデッキを試します。

また、単純に強いデッキを試すこともあります。それらをデータとテストプレイを活用して最高のデッキに仕上げた後、少し手を加えます。そうすることで、どのようなカードが良いとされるのかのアイディアを得ています。

良くないカードを見つけた際には、すぐにメールを出したり、ブレーンストーミングを行います。50個の修正案を出してそこから選ぶこともあれば、それ以上の修正案を出すこともあります。カード作成には8か月を費やしていますが、リリース後に修正しなければならないこともあります。

 

– カードの修正案は最終デザインチームが出すのでしょうか?それとも、設計チームが出すのですか?

最終デザインチーム内で答えを見つけようと努力しますが、うまくいかない時やカードが特に重要な場合は、時々チーム外のメンバーに意見を聞きます。例えば、設計チームやハースストーン開発チームのメンバーに、こんなメールを送ります。
「プリーストのレジェンドカード案としてこのようなものを考えているのですが、もし他にこの特性に合うようなアイディアがあったら教えてもらえませんか。」
みんなで協力して多くのアイディアを得ているのです。

 

– (開発者に向けて)プレイヤーが「一日中このゲームをやってみろ!」と言うこともありますが、どうでしょう?

1日をゲームに費やせれば幸せなことだと思いますが、会議を行ったり、インタビューを受けたりもします。カード公開の仕事やイラストを決める仕事、フレーバーテキスト、ボイスデザイン等々仕事が山ほどあります。バグの修正もありますし…

 

– 最終デザインチームが4人というのは少ない気がしますが足りているのでしょうか?

4人でいることの素晴らしい点は、お互いの席が隣同士でいられることです。常にコミュニケーションがとれるため、今何が起こっているのかを全員が把握できます。以前私が働いていた場所はグループが巨大で、情報を追うことに多くの時間を費やしていました。

 

– 先日のパッチ(9.1)は成功したと思いますか?

はい、とても良い変化が得られたと思います。様々なデッキタイプでプレイされており、全てのクラスで遊べる状況になっています。好きなクラスで遊べることがハースストーンにとって重要なものだと考えています。プレイヤーに楽しんでもらえると私も嬉しいです。

時間が経つにつれて、どのクラスが、どのデッキが優れているのかを皆が学ぶでしょう。それはカードゲームの宿命ですが、少なくとも今は楽しい時期だと思います。

 

– 海賊ウォリアーは今回大きな打撃を受けました。マーロックパラディンも影響を受けていますが、こちらはそれほど影響がないように見えます。また、プレイヤーは弱体化されたカードを使うことを嫌う傾向にありますが、リロイのように徐々に戻ってくるカードもあります。このような現象は想定しているのでしょうか?

そうですね、リロイのように烈火の戦斧も戻ってくるでしょう。パラディンやウォリアーについては、新しいデッキタイプを試す良いチャンスになると思います。どのようなデッキが流行るかは分かりませんが、色々なタイプが見られると思いますよ。

 

– 「拡がりゆく虫害」と「錬気」の調整時、最終デザインチームではそれらについてどのような認識をもっていましたか?

私たちが多くのテストプレイをしていることはご存知ですよね。それらは開発段階で内容(デザイン)が変わります。「拡がりゆく虫害」も開発中の4カ月間に変化し、その度にいくつものデッキをテストしました。
ランク戦ではアグロが多く見られるため、それらに対して「拡がりゆく虫害」はとても有効だと考えていますが、テストプレイで行ったコントロールやミッドレンジ、コンボデッキなどのデッキタイプには、それほど強くないという印象です。

 

– パッチ9.1が出る前に、プリーストが強くなりすぎるのではないかという懸念がありました。プリーストの設計について気を付けていることはありますか?

カードデザインを正しく行うことだと考えています。プリーストの初期の特性は、相手のカードを盗むことでしたが新しい特性も必要になります。ドラゴンプリーストだったり、クトゥーンプリーストだったり(メジャーなデッキにならなかったとしても)、ライラだったり。

 

– 現時点では、「縛鎖のラザ」と「影刈アンドゥイン」のコンボが強力です。

それは間違いありません。プリーストのデッキは捉え方が難しく、上手いプレイヤーの勝率は良い指標にはなりません。3年間ずっと「プリーストを強くしてくれ」とプレイヤーに言われ続けてきましたが、調整は慎重に行う必要があります。

 

– 突如「ケレセス公爵」が一大ブームとなりましたが、これは予想できましたか?また、パッチ適用前でもプレイヤーが気付いていれば、「ケレセス公爵」は強力だったと思いますか?

確実に強かったはずです。データ上で「ケレセス公爵」は結果を出しており、数少ないプレイヤーが様々なクラスで成功させていました。

 

(後編→)

 

訳:ahirun

 

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