Blitzchungに関する声明 (Brian Kibler)[訳:flaflafl]

この記事は、blitzchung選手がグランドマスターズのインタビューで政治的発言を行い、グランドマスターズ除名や賞金の没収を受けた件についての、Brian Kibler氏の個人的な見解です。

blitzchung選手が行った発言についてはこちらの記事をご確認ください。
blitzchung選手が政治的発言によりGMから降格処分

Brian Kibler氏はハースストーンリリース時からのプレイヤーとして、そして公式キャスターとして人気がある人物です。ハースストーン以前にはマジック・ザ・ギャザリングで活躍しており、カードゲームの大会シーンへの造詣(ぞうけい)にも深く精通しています。

この度flaflaflさんから翻訳文を頂きましたので、ここに掲載します。

 

以下、翻訳文となります。

ハースストーンコミュニティ内での私の立場が、私に国際関係上の慎重に扱うべき主題に関する声明を出させるようなことになるとは思いもしませんでした。しかし、私は常に、ゲーム業界の公人としての私の奇妙な立ち位置が、世界をよくするための私に与えられた好機であると見なしてきました。では始めましょう。

以下が私の理解する限りでの事実です。

アジア太平洋地域グランドマスターズ・シーズン2の最終戦を終えた後、香港人プレイヤーのNg “blitzchung” Wai Chungは、台湾の公式ハースストーン配信の試合後のインタビューに、ガスマスクをつけて現れました。彼はマウスピースを外し中国語で「香港を開放せよ、われらの時代の革命!」(香港で現在進行中の抗議運動のスローガン)と叫びました。

ブリザードは、blitzchungが「あなたを公的論争の渦中に置く、公衆の一部または一集団を不快にする、または、その他の仕方でブリザードのイメージを傷つけるとブリザードがみなす行為に従事する」ことを禁じる、ハースストーン・グランドマスタ-ズの規則を犯したとの裁定を、火曜日に発表しました。

ブリザードが科した罰は、blitzchungをグランドマスターズから除名し、彼がシーズン2に得た賞金を遡って取り消し、さらには競技イベントへの出場を一年間禁ずるというものでした。加えて、ブリザードは問題となったインタビューを行ったキャスター陣を、今後採用しないと発表しました。

まず最初に述べたいのは、私がblitzchungの行動は非常に勇敢な行動であったと感じているということです。彼は彼の行動がハースストーンにおける彼の未来だけでなく、おそらくは彼自身の安全を脅かすような深刻な結果を招くことを知っていました。私はそのような行動をとった彼の勇気を、称賛したいと思います。

そうではあっても、ブリザードが彼の行動に対して罰を科したこと自体は正しかったと考えます。ブリザードは、公式放送が政治的手段として利用されるという前例を作りたくなかったのです。グランドマスターズプレイヤー達は自身の行動に関する規則に同意しており、彼はその規則を破ったのです。

blitzchungは「彼が香港抗議運動を支持したから」罰せられたのだと主張する状況説明を、私は多く見てきました。しかしそれは完全に正確な説明ではありません。ブリザードはblitzchungを彼の政治的立場のせいで罰したわけではなく、彼がブリザードの公式放送をその政治的立場を宣伝するために使ったことが規則違反であったから罰したのです。

私のSNSをフォローしている誰もが知っているように、私は政治的発言を控えるような人間ではありません。私は、アメリカ合衆国で起こっている事柄に関する自分の見解をしばしば述べてきました。私は「2016年大統領選」という名前のデッキをコレクションに3年間保持し続けており、そのデッキには崩壊、破滅、終末予言的中者といったカードばかりが入っています。私は、自身が重要であると考える事柄について沈黙するくらいなら、私と見解を異にする人たちと袂を分かつことを選びます。

しかし、ハースストーンの公式放送に出演するとき、私はそれらの見解を家に置いてきます。たまに遠回しな嫌味くらいは言うかもしれませんが、私は自分自身に加えてブリザードを代表していることを理解しています。もし私がトランプは弾劾されるべきであるという演説で番組を終えたなら、その後イベントに招待されないであろうことを理解しているのです。

以上を踏まえたうえで、今回の件に関しては別の要素も絡んでいます。blitzchungに科された罰は非常に厳しいものです。罰金とか短期の出場停止であれば理解できますが、グランドマスターズからの除名、獲得済みの賞金の没収、1年間の出場停止は完全に不当で不公正であると感じられるほどに、完全にやりすぎです。

中国と香港の地政学的状況の詳細や、かの地におけるブリザードのビジネス上の利害の全貌を、私が理解してるわけではありません。しかし、今回の罰則はそれら両方の要因に深く根差したものだと感じます。罰則の厳しさは、ブリザードがblitzchungにこのような罰を科したのは、今後他の人々が彼と同じような行いをしないようにするためだけでなくblitzchungの行動によって激怒した人々の怒りを緩和するためでもあったのではないかと思わせるものです。

端的に言って、私は道義上そのような緩和策と関連付けれられたくありません。今回の裁定を知ったとき、私はブリザードに連絡しBlizzConでのグランドマスターズ最終決勝戦のキャスターを気持ちよく務めることはもうできないと伝えました。今回の決定を暗黙裡に支持しているカメラの前で私が微笑むことはないでしょう。何らかの変更がない限り、私が今後グランドマスターズとかかわることはありません。

しかしながら、グランドマスターズにかかわるすべての人々が、このような贅沢を享受する余裕があるわけではないことは、明確にしておきたいです。あなたの怒りを他のキャスター、配信者、ブリザード社員に向けないでください。今回の決定は一般社員が行えるようなものではありません。おそらく彼らや彼女らもまた、あなたと同じくらい怒っているのです。少なくとも私はそうです。

原文:http://bmkgaming.com/statement-on-blitzchung/
原文ミラー:https://medium.com/@bmkibler_5280/statement-on-blizzard-and-blitzchung-9e4b4aec39ab