開発者のDean Ayala氏がコミュニテイの質問に回答(3月11日)

開発者のDean Ayala氏が自身のTwitterにて、ユーザーからの質問を募り、それぞれに回答しました。

このQ&Aセッションは、1月14日から定期的に開催されており、今回も多くのユーザーから質問が集まっています。過去の質問・回答は、以下の記事を御覧ください。

<< Dean Ayala氏のQ&A(1月14日)>>
<< Dean Ayala氏のQ&A(1月21日)>>
<< Dean Ayala氏のQ&A(1月28日)>>
<< Dean Ayala氏のQ&A(2月4日)>>
<< Dean Ayala氏のQ&A(2月11日)>>
<< Dean Ayala氏のQ&A(2月18日)>>
<< Dean Ayala氏のQ&A(2月25日)>>
<< Dean Ayala氏のQ&A(3月4日)>>

Dean Ayala氏のTwitter: @IksarHS


Q: 死線の追跡者レクサー転校生のような、拡張毎に新しい効果があるカードは追加の開発コストが必要ですか?維持するためにコストがかかりすぎるとされたカードはありますか?

死線の追跡者レクサー Deathstalker Rexxar

A: 面白い話がありますよ。

死線の追跡者レクサーを更新するかしないか、という話が出たとき私はオーストラリアのハースストーンイベントに参加していました。その時私はホテルでDisguisedToastと話していたところでした。彼には「気持ちはわかるけど、大変なのにメリットがないから、継続して更新する予定はないよ。新しいことに時間を使いたい」と話していました。

ただ、翌日開発チームは死線の追跡者レクサーを更新していくことを決めました。

DisguisedToastには、「ええと…、私は全て間違ってました」と伝えました。大規模なチーム開発では、こんなこともあります。


Q: バトルグラウンドのヒーローを、独自性を保ちながらバランスを取ることはできますか?それとも強いヒーローと弱いヒーローがいるのは良いことですか?

A: 無理のない範囲で強いヒーローと弱いヒーローがいるでしょう。最初の選択肢に4人のヒーローが出てきたとき、超期待できるヒーローがいる方が良いですよね。どのヒーローも平均的な強さだったら、少し寂しいと思います。

しかし、「このヒーローを使えなければ勝てない」というヒーローがいるのは最悪です。例えば、ティリオンはコレに近い存在で、他のプレイヤーにとって悪影響を与えていました。

また、バトルグラウンドには様々なヒーローがいます。勝率46%のヒーローでも、上振れできれば本当に強いヒーローもいます。そういうデザインも(デメリットがあるとしても)面白いと思います。リスクが大きいヒーローで、夢を見てプレイするのは楽しいことですし、時にはクレイジーなことになることもあります。これは構築戦にも当てはまります。

バランスが重要なのは、それがバランスの認識に影響を与えるからです。これこそが重要なことで、ヒーロー選択時に公平なチャンスがある、と感じられるのであればあるヒーローが他のヒーローよりも強くとも問題ありません。私達が避けようとしているのは、弱いヒーローがいて、そのヒーローを好むプレイヤーがいないことです。弱くて面白くないヒーローは存在する意味があるでしょうか?むしろそのようなヒーローは排除し、強いヒーローや、弱くても楽しいヒーローを作りたいと思っています。


Q: ハースストーンの開発チームには、クラスのカードに特化した人がいるのでしょうか?

A: カードデザインチーム全体でクラスカードを担当しています。クラスカードデザインの一部は、そのクラスのコンセプトが何であるか、機能的に何をすべきか(あるいは、すべきではないか)を確かめることです。


Q: 大修道院長アルーラのバランス調整が戻る可能性はありますか?

大修道院長アルーラ バランス調整
パッチ19.6による変更

A: ローテーション期間中に全ての弱体化カードを見直し、戻すかどうかを決定します。これは基本的にはワイルドに移行するカードのことですが、その際にスタンダードのカードも評価し直しています。


Q: ハースストーンのサウンドトラックアルバムはリリースされないでしょうか?

A: 良い質問ですね。SpotifyかYoutubeになにか用意するべきだと思います。マーケティング部門の誰かに答えてもらわないといけませんね。


Q: コアセットに採用されなかったカードは、将来のカードデザインを制限するカードだったのでしょうか?ツンドラサイがいなくなるのでハンターは強い獣を、魔法使いの弟子がいなくなるのでメイジは低コストの呪文を手に入れられるのでしょうか?

A: それが理由の1つです。あなたの考えは正しいのですが、私達は無限にカードを作ることはできません。今ある10種類のクラスカードの中には、それぞれ目標があります。

ツンドラサイのせいで作れない強い獣が、私達が作りたいアーキタイプにピッタリなのだとしたら、それは私たちが狙っていることです。もしそうでなければ、サポートされることのないカードのために枠を使うことはないでしょう。


Q: ペットについての拡張セットは考えていますか?もっと猫のカードを作ってください。

A: World of Warcraftにはペットバトル(ポケモンのような対戦コンテンツ)があるので、アゼロスでのペットバトルやペットコレクションができるのは当然のことです。ポケモンがペットバトルのインスピレーションになったのは明らかなことで、Coraが適任者だと思います。


Q: 酒場パスは期待通りの売り上げをあげていますか?メガバンドルに含めることは考えていますか?

A: ビジネス視点で見た酒場パスの目標の1つに、他の商品の売上を下げない商品を作ることがありました。つまり、酒場パスでXXドル稼いだとしても、他の商品の売上がXXドル下がる、とならないようにしたかったのです。

そこで私達は装飾品をベースにした商品を考え、装飾品以外の商品とは別物にしようと考えました。今後は、より新しくカッコいい装飾品のための開発ラインを作り、それに合わせて価値を高めていく予定です。近日中に「より新しくカッコいい」装飾品の第一弾を発表する予定ですので、皆さんのご意見をお待ちしています。


Q: ハースストーンで好きなドラゴンはなんですか?

ノズドルム Nozdormu

A: ノズドルムではありません、一番好きじゃないドラゴンです。


Q: 魔素システムの将来をどう考えていますか?スキンなどをゴールドで買えるようになったことで、ゴールドでカードを買うよりも、魔素で作成した方が良いようになっていくのでしょうか?

A: 魔素は他のカードを砕くことで初めて資源となるので、嬉しい資産ではないと思います。でも、ノーマル版のカードを魔素でゴールデンにアップグレードにする機能などには、積極的に取り組んでいます。ヒーロースキンやコインを魔素で作成できるかどうかはわかりません。

使用できる資源の選択肢を増やすには、ユーザーインターフェースを作成するコストがかかるため、どのようなデザインにするか試しているところです。今の所アップデート予定はありませんが、進行中です。


Q: 実績システムから達成できない実績を削除できませんか?ワグトグル女王やフックタスク船長の実績のことです。

A: 彼らは再び帰ってきますよ 🙂


Q: デュアルクラスの秘策は考えたことがありますか?実現できるものなのでしょうか?

A: デュアルクラスの秘策を作ることは可能ですが、(同じ秘策コストである)ハンターとローグは共有されたデュアルクラスではないので、今は用意していません。以前、1年間を通じて特定のクラスで1年間ずっと全てのカードを共有する、完全なデュアルクラスを考えていました。とても難しいことですが、考えるのは楽しかったです。


Q: コアセットの中に、何枚かは本当に弱いカードが入っているのは意味があるのでしょうか?チルウィンドのイエティやアイス・レイジャーのことです。

チルウィンドのイェティ | Chillwind Yetiアイス・レイジャー | Ice Rager

A: コアセットの目標は学習やアップグレードのための非常にシンプルなカードがあるセットであることには変わりありません。私達は「絶対にデッキに採用されないカード」を沢山入れようとは考えていませんが、これらは基本的に、シンプルな初期デッキの選択肢になるために存在しています。


Q: カードのプレイテストは具体的にどのように行うのですか?サンプル数はどれくらいなのでしょうか?

A: 全てのカードをテストしているわけではありませんが、ほとんどのカードをテストしています。ただ、パドルストンパーのようなテキストが無いカードを何度もプレイしても、得られるものはありません。

パドルストンパー | Puddlestomper

私達は毎日のようにテストプレイをしていますが、あるグループは初期デザイングループで、できたてのカードやメカニズムを使って、バランスは重視せず、新しいアイデアを試しています。最終デザイングループは、アーキタイプのデザインやバランス、リリース後にメタゲームがどうなるかを検討します。最終デザイングループのメンバーは、全員が世界トップクラスのプレイヤーです。

カードの評価というのは、必ずしも適切ではありません。カードは理論的な強さではなく、周囲の状況で力を発揮します。将来のデザインスペースを確保する場合もありますが、まだ存在しないカードを基準にして楽しいカードを削ったり、バランスを取ったりはしないようにしています。

そして、完璧な答えを得るためには、カードをリリースして多くのユーザーからフィードバックを得て、何十万ものサンプルを確認する必要があります。これほどのサンプルを私達で得ることは当然できません。その代わりに、カードデザインの哲学やハースストーンのデザインの歴史を理解していて、世界でも有数のプレイヤーを雇い、経験に基づきどうなるかを推測しています。


Q: バトルグラウンドプレイヤーはフレンドリストで「ブロンズ・チキン(ブロンズ10)」と表示されます。これをバトルグラウンドのレートに基づく表示にアップデートする可能性はありますか?

A: チーム内にこのことに関して熱心な人がいて、教えてくれました。まだビジュアルやユーザーインターフェースの問題がありますが、やりたいと思っています。ただ、時間と人を確保しなければなりません。


Q: 楽しんでいるコンテンツ(配信や動画など)はどんなものがありますか?

A: 私は最近TwitchやYoutubeをあまり観ていませんが、Twitterで楽しんでいます。もっと多くのプレイヤーが自分のお気に入りのデッキのコードや、その理由を投稿してくれたらいいのに、と思っています。

私は心の底からデザイナーなので、ゲームのフィーリングや新規プレイヤーの経験、システムデザインなど非常にデザイン性の高い話題に関する議論が大好きです。

チームの中には、定期的に配信を視聴している人もいます。グランドマスターズを観る人もいれば、通常の配信を観る人もいます。ファイナルデザイナーは構築戦を観ていますが、他の人はバトルグラウンドの配信を観ています。

また、私は「TOP X THINGS」のビデオのファンでもあります。次のネタバレをしないように、いつもゆっくりスクロールして観ています。


Q: フェニックス年を振り返って「もっとこうすればよかった」と思うことはなんですか?

A: これは、私が考え続けている質問の一つです。

デーモンハンターの開発期間は、望んでいたよりも長くありませんでした。私達は、新クラスなしの拡張セットを作るのと同じようなスケジュールで、新クラスと新拡張セットを作ろうとしました。そのため、ヒーローパワーやクレイジーなアイデアがあったのですが、それを試す時間がありませんでした。また、デーモンハンターの基本的なデザインに多くの時間を費やしたため、最終的にはアーキタイプのバランスを調整する時間があまりありませんでした。

全体的にデーモンハンターの出来には満足していますが、今後も新しいクラスを作るときには、数ヶ月前に少人数のチーム(おそらく2名)を作って、アイデア出しをすることになると思います。


Q: ワンダフル・ウィズバンがコアセットに採用されなかった理由は何ですか?

ワンダフル・ウィズバン/Whizbang the Wonderful

A: 新カードに生まれ変わるには、全てのカードが死ななければなりません。少なくともスタンダードでは。ワンダフル・ウィズバンは斬新なアイデアだったと思いますが、それ以外のカードに興味を持たない人が多くいれば、それは悲しいことです。

ワンダフル・ウィズバンを残すことで、カードを持っていない人がプレイできるようになるという意見が多くありました。しかし、解決策はそれだけではありません。コアセットを無料で配布するのは、より良い策だと思っています。


Q: シネマティック・トレーラーコンテストで一番衝撃的だったのは何ですか?
※シネマティック・トレーラーコンテスト:Dean Ayala氏がTwitterで開催した、シネマティックトレーラーの人気投票企画

A:「灰に舞う降魔の狩人」が「荒ぶる大地の強者たち」を上回ったことは…なんだ!?

「凍てつく玉座の騎士団」が「ワンナイト・イン・カラザン」に勝ったのも驚きました。デスナイトの物語がかなり強いことがわかりました。


Q: バトルグラウンド用のスキンはいつ追加されますか?

A: 私達は、既にアーティストたちに沢山依頼しています。今の所はこれだけです。しばらくお待ち下さい。


Q: MTGAにあるようなセールを頻繁に行うデイリーショップを追加する予定はありますか?

A: ショップに行く理由を作るのは、すべての人にメリットが生まれます。無料のコンテンツやお得なものがあれば、プレイヤーは喜ぶでしょうし、ゲームとしては、興味を持ってほしい商品を紹介できるので良いと思います。

具体的な方法は決まっていませんが、色々と話し合っています。ショップをプレイヤーに合わせた内容にしたり、クライアントパッチを必要としない方法で、デイリーショップ商品の自動更新をするなど、多くの作業が待っています。


Q: ウィッチウッドのヒーロー達のスキンを追加する予定はありますか?

ウィッチウッドのヒーローたち
ウィッチウッドのヒーロー達

A: いつか昔のアドベンチャーの実績を追加したいと思っており、その実績の報酬としてスキンは最適だと思っています。必要なボイスが全て揃っているかわわかりませんが、良いアイデアだと思います。


Q: 「問題がある」デッキは、どのように判断していますか?大会でのプレイ基準なのか、ランク戦基準なのかどうでしょうか?

A: ほとんどがランク戦のプレイに基づいています。問題となるのは、ゲーム性が非常に偏っており、プレイ率が5~10%を超えている場合や、デッキが20~25%を超えても減衰する気配がない場合などです。


Q: ゲームデザインの仕事に就くにはどうしたら良いでしょうか?

A: 様々な方法がありますが、自分でゲームを作ることがよいでしょう。最近は素晴らしい学校が沢山あるり、4年かけて自分のチームで自分の作品を作り、プレイテストをしてきた学生と競っていたりもします。

デザインの素質があるプレイヤーとして成功することもありますが、それは本当に世界レベルのプレイヤーでなければ実現しません。それは、稀なケースでしょう。

オンラインには沢山の資源があります。UnityやUnrealなど、やる気さえあれば自分で作る方法を簡単に学ぶことができるでしょう。


Q: コアセットからバーストダメージのカードを除きましたが、拡張セットにバーストカードを追加する予定はありますか?それとも盤面重視のゲームにするのでしょうか?

A: バーストダメージは勝利条件(Win Condition)を指しますが、私達はコアセットからほとんどの主要な勝利条件を除こうとしました。勝利条件はゲーム毎に最も目立つものなので、それがコアセットに含まれるのは、一年を通じてゲームの記憶に残ることを意味します。

そして、全てのプレイヤーがそれを所有することになるので、何度も同じカードで負けることになると、ゲームが非常に陳腐なものになってしまいます。

とはいえ、私達は今でもバーストカードや勝利条件となるカードは、拡張セット用にたくさん作っています :0


Q: 精神与奪者イルシアやチケッタスが与える影響は、デッキ採用率で見ていますか?それとも、単純に勝率でしょうか?

精神与奪者イルシア | Mindrender Illuciaチケッタス | Tickatus

A: 採用率です。もし10~15%のデッキがチケッタスデッキであれば、それが勝てるデッキかどうかに関わらず、悪いことだと思います。


Q: 吸血毒も、弱体化から戻そうと考えましたか?

吸血毒 | Leeching Poison

A: はい。でも、吸血毒を戻したワイルド環境は面白くないと思い、戻すのはやめました。


Q: メインメニューの改善予定はありますか?

A: To-Do リストに載っており、特に新モードを追加するときに浮上します。


Q: 人生とは何ですか?

A: 家で犬と一緒においしいものを食べながら、アニメを見るためにCrunchyroll(アニメや漫画を提供するサイト)に課金するためのお金を稼ぐことです。


Q: 拡張セットが増えるにつれ、新しいメカニズムを生み出すのが難しくなると思いますか?

A: 恐らく昔はそんなことを考えていましたが、今はそうではありません。何かをリリースし、プレイヤーを観察することで、今まで想像もしていなかった新しいアイディアが生まれてきます。


Q: (ワイルドカードの登場やデュアル闘技場があった)「砂漠の悪霊、裁くの苦慮」のようなイベントは、今後も予定していますか?

A: たぶん…。ミニ拡張は、拡張セット間のすき間を埋めるために導入しましたが、数枚のカード追加では効果がないと学びました。「砂漠の悪霊、裁くの苦慮」は期間が長すぎたので、次回は、新拡張前の2週間以内に収めると思います。


Q: クラシックモードはいつ始まるのでしょうか。来年のローテーション、新拡張、バランス調整のパッチなど、どのタイミングでしょうか?

A: 新拡張リリースのときです。


元となるDean Ayala氏のツイート