開発者のDean Ayala氏がコミュニテイの質問に回答(3月4日)
開発者のDean Ayala氏が自身のTwitterにて、ユーザーからの質問を募り、それぞれに回答しました。
このQ&Aセッションは、1月14日から定期的に開催されており、今回も多くのユーザーから質問が集まっています。過去の質問・回答は、以下の記事を御覧ください。
<< Dean Ayala氏のQ&A(1月14日)>>
<< Dean Ayala氏のQ&A(1月21日)>>
<< Dean Ayala氏のQ&A(1月28日)>>
<< Dean Ayala氏のQ&A(2月4日)>>
<< Dean Ayala氏のQ&A(2月11日)>>
<< Dean Ayala氏のQ&A(2月18日)>>
<< Dean Ayala氏のQ&A(2月25日)>>
▼Dean Ayala氏のTwitter: @IksarHS
Q: シャーマンのデザインと、今後のクラスの方向性について詳しく教えて下さい
A: 呪文系統を使った構築は、シャーマンにとって面白いものになるでしょう。火炎、凍気、自然すべてがシャーマンに関係があります。
私達は、もともとシャーマンのドローカードを制限していましたが、他のクラスと同様にその制限をなくしています。ドローカードは、全てのクラスにある程度欲しいと思っていますが、手札をいっぱいにできるクラスや、逃げ足のような大量のドローができるクラスは限られています。シャーマンは血の乾きを失いましたが、血の乾きのようなカードで引き続き活躍できるでしょう。
また、シャーマンは過去にも取り扱ったテーマを持っています。マーロック、雄叫び、オーバーロード、エレメンタルなどです。
Q: ゲームの「バランスが取れている」ということは実現可能でしょうか?
A: バランスについて重要なのは、認識です。プレイヤーが、全てのカードやデッキのバランスが取れていると思うかどうかではなく、プレイヤーが、楽しいと思うデッキをプレイして、フェアなプレイと感じられるだけの選択肢があることです。
私達のデザインの考え方は、たとえ勝率に反映されずとも、うまくいったときには強力だと感じるカードや戦略を作ることです。 相手が強すぎてイライラすることもあります。正直なところ、全クラスの勝率が50%になるまで毎日デッキやカードを調整するのは簡単ですが、それを目標としてはいません。私の目標は、プレイヤーが少なくとも1つは魅力的に感じるデッキがあるような、十分に広いデッキの選択肢があることです。
なにかイライラするゲームがあったとしても、次第に平準化され、自分のデッキで倒すことができるようになることを願っています。それは、強すぎるデッキを作るという意味ではなく、自分のデッキ・戦略で倒したと感じてもらうことを目的としているからです。強すぎるデッキを作ることが目的になると、「バランスが取れていない」ということになります。
誰もが1つのデッキが強力だと話しているのなら、バランスが取れていない可能性は高いでしょう。誰もが「自分の」デッキが強力だと話しているのなら、私達は正しいことができているでしょう。
Q: 扇動する船頭は、登場以来ずっと大きな影響を与えてきました。このようなカードについてどう思いますか?
A: スタンダードでほぼすべてのデッキに採用されるのは、大抵の場合悪い兆候です。
ウォリアーの場合、多くの戦略(アグロ、テンポ、コントロール)で扇動する船頭を、採用の選択肢に挙げられます。ただ、多くのデッキに採用されていることが全て問題となるわけではありません。何故なら、このカードの使い方はデッキによって異なるからです。また、このカードは、このカードがなければ使われなかったかもしれない、自傷関連のカードを起動するカードになっています。 そのため、一線を超えてはいますが、全体的には扇動する船頭に満足しています。
Q: チケッタスは6/8/8で、対戦相手のデッキを5~10枚破棄させるのは強すぎると思います。もっと変妖させるのが難しいと考えていましたか?もしウォーロックが強くなればバランス調整することはありますか?
A: このような質問にはこれまでもお答えしていますが、チケッタスのようなカードが存在するのは、このようなカードが、一部のプレイヤーがハースストーンをプレイする理由になっているからです。
一部のプレイヤーは意地悪なカードが好きで、パワーに関係なく意地悪なカードをプレイします。彼らのために、このようなカードを作りたいと思っています。しかし、これは非常にイライラさせるカードなので、通常のデッキに何枚もの”意地悪”カードが採用されるほどパワフルにはしたくありません。
ドブネズミや精神与奪者イルシアもこのタイプのカードです。なので、全体にあまり影響を与えずに、一部のプレイヤーにとって素晴らしい勝利となるカードを作ることができれば、それは私達の成功だと思います。
そして、ポジティブな面があると思います。ハースストーンにはミニオンの戦闘やカードのアドバンテージだけでない、面白いデッキがいくつもあることを思い出させてくれます。あなたが思いつきもしなかったような奇抜な戦略が可能なのです。
それが毎ゲーム行われると目新しさが失われるので、プレイする人口には気にしなければなりません。チケッタスデッキがメタの10%になれば悲惨ですが、5人しかいなかったとしても悲しむことになるでしょう。1%程度が、丁度よさそうです。
Q: 何度も追加しようとしたけれど上手くいかなかった機能はありますか?
A: ランクのある闘技場やフォーマットの再構築などについて、ブレーンストーミングを行ってきましたが、常に壁にぶつかっています。
2vs2や、ソーシャル要素についてもまた、多くの提案が出ています。ソーシャルには、主に2つのアプローチがあります。1つ目は一緒にプレイできるようにすること(レイドや4vs4)、2つ目は人々をつなげること(ギルドやクラン)です。
2vs2は、何人も構想やゲームの流れを提案してきましたし、いつかやるかもしれないと思っていますが、まだ自信のあるデザインは出来ていません。個人的には、ギルドシステムでユーザーをつなぎ、ソーシャルゲームモードでフォローしたいと思っています。
去年は実績システムや新しいゲームモードの開発に多くの時間を費やしましたが、次はソーシャル機能に時間を割くと思います。
Q: デザインする/バランス調整するのが難しいクラスは何ですか?
A: カードのデザインについては、デザイナーについて回答が異なります。 ハンターはデザインしがいのあるクラスです。明確な特徴を持っているという点で、ハンターが好きなのですが、その特徴のために、ウォリアーやドルイドのような、変わったことをするのが難しくなっています。
バランス調整が難しいのは、ドルイドだと思います。ランプ(マナ加速)は特に、バランスを取るのが難しい要素です。ドルイドの特徴ではありますが、相手が対処しづらいのです。ランプとバーンズには、多くの共通点があります。対処する余裕を与えずに、大型のミニオンが出てきてしまうのです。
ウォーロックもデザインが難しいクラスですが、私はウォーロックでの仕事が好きです。ウォーロックの強力なデッキには、中程度のパワーの1~2マナ中立ミニオンが採用されています。ウォーロックのヒーローパワーは、低コストの中立カードを、私が思いつかないような方法で利用できます。
Q: イシェル・ウィンドシンガーやビーストマスター・レオロックスのような、全く日の目を見なかったレジェンドについてはどう思いますか?
A: これについては、悲しんでいるというのが答えです。カードの中には、最初はプレイ率が低くとも、後のサポートカードでプレイされるものもあります。プレイヤーに愛されるカードでも、イライラするカードであるために、プレイ率が低いカードもあります。
時には、単にパワーが足りなかったり、存分に楽しめないデザインだったりもします。デザインにかけられる時間は無限ではないため、「もっと時間があればよかった」というカードは必ず出てきます。
Q: 執拗なネズミのような、デッキ内に何枚でも採用できて、それ自身によって効果を発揮するカードは考えたことはありますか?
A: 実際に一度だけ考えたことがあります。ハースストーンのシステムで実装しようとすると、このようなカードは少し変わるでしょう。2枚所有していれば、無限のコピーを使用できる、という仕組みにすると思います。
ホッピング・ホッパーは、実際にあった似たようなカードです。これは、無限のコピーを持つ代わりに、手札に戻したりコピーを作成したりする方法を生み出しました。新しいルールを作らずに、同じようなプレイスタイルを作ることはできます。
確かに創造性はあまり良くありませんが、1枚のカードを30枚詰め込んだデッキは、プレイするだけで満足感があって面白いでしょう。いつかやるかもしれません。この話題は、明日デザイナーのところに持っていきます。
Q: ハースストーンをVRで体験できる可能性はありますか?
A: 開発チームの誰かが、VR酒場でカードを掴んで投げると、酒場の人々がこちらを見てくるVRを作っていました。気味が悪かったです。
が、これを将来の正式なものにする予定はありません。
Q: レジェンドに到達したプレイヤーには何を目指してほしいですか?1000位以内スキンなどを期待できますか?
A: 上位 X位になったプレイヤーへの特別な報酬と、その順位をどこに設定すべきかを議論しています。
もし上位100位や500位に設定すれば、より高いレベルを目指す目標になるかもしれません。上位10位や1位に報酬を用意したら、それは目標というよりも、プレイヤーが長い期間語り継ぐようなクールなものになるでしょう。
方向性が定かではありませんが、もしかしたら両方やるかもしれません。報酬についての詳細は明らかにしませんが、プレイヤーが誇れるものにしたいと思います。
Q: テストプレイで最も興奮したカードは何ですか?
A: オリジナルのン=ゾスは本当に興奮しました。色々なデッキでテストしました。お気に入りのテストデッキは、ン=ゾス/クトゥーンデッキでした。
Q: ハースストーンに、デッキトラッカーの機能が追加される可能性はありますか?
A: 恐らくないと思います。デッキトラッカーが好きな人はいますが、ほとんどの人にとっては情報過多になるだけだと思います。
Q: パラディンのコアセットだけは、主要パーツがほとんど変わりません。入れ替えるカードは、どのように選びましたか?
A: パラディンのオリジナルのセット(基本/クラシック)は、かなり弱かったのですが、テーマ性がありました。パラディンは、全てのデッキに採用されるようなカードは持っていませんでしたが、非常にテーマ性の高いカードを持っており、コアセットのほとんどのカードは私達が求めていたカードの条件に合致していました。
Q: プレリリースについて、否定的な意見もありますがどう思いますか?多くのプレイヤーのデッキ作成の手助けとなっていると考えていますか?
A: 否定的な意見はありますが、多くのプレイヤーは初日に使うデッキを探しており、このイベントはその役に立っていると思います。また、このイベントでメタが固まるとも思っていません。
プレリリースに参加しているプレイヤーを見る限り、最強のデッキを組んでいるわけではなく、面白そうなデッキで遊んでいることが多いようです。
このイベントによりメタが加速していると思っているのなら、私たちはイベントを実施しないでしょう。そして、私たちはその事実はないと考えています。 プレリリースイベントは、右も左も分からないプレイヤーに、指針を与えるという目的を果たしていると思います。
Q: World of Warcraftにとても興味があったので英雄の書はとても楽しかったです!初期クラス10人だけでなく、ヒーロースキンや人気のあるカードのキャラクターの登場に期待してもいいですか?
A: はい、主要クラス10人以外にも用意します。私たちのチームには、様々なストーリーや背景を伝えることに興奮している人たちがおり、英雄の書の提供方法を模索しています。
Q: シャーマンのヒーロパワーから呪文ダメージトーテムが消された理由を教えて下さい。デザインスペースの問題ですか?
A: 一部のデッキでは極端に強く、また一方では極端に弱かったためです。呪文中心のシャーマンを作ったときに、RNGに振り回されてほしくないと思っています。
Q: ハンターとウォリアーのヒーローパワーは、盤面に影響を与えないヒーローパワーを持っています。ドワーフの狙撃手やシールドスラムなどで、それらを助けているようですが、今後もそのようなカードを作成しますか?
A: それらのカードは、カードデザインスペースに含まれています。ただ、そのデザインスペースを利用して、全く別のクラスにしたいとは考えていません。
例えば、ハンターが回復するようになったり、無限にカードリソースを補充できるようにはなりません。(おっと、死線の追跡者レクサーは忘れてください)
血祭やハンドバフは、ハンターのメカニズムの一つなのですが、イマイチうまくいっていないので、どうしたらよいか考えています。
Q: 他のIP(ゲームやアニメ、その他ブランド)とコラボすることを考えたことはありますか?
A: はい。ただ、コラボについては様々な見解があります。
例えば、NARUTOの拡張セットを出すかと聞かれたら、ノーと答えるでしょう。でも、もしNARUTOのIPを持っていたら、バトルグラウンドに出すかもしれません。
私たちは、Warcraftの世界に合った選択をしたいと思っています。ディアブロとコラボすることでディアブロファンを大量に獲得できるかもしれませんが、Warcraftにも悪魔が存在するので、大きな変革が起こるようなコラボにはならないでしょう。
率直に言えば、私は学習という点で、何年もプレイヤーに愛されているハースストーンへのコラボには興味があります。でも、やらないでしょう。
Q: 実績は全て達成しましたか?
A: いいえ。Warld of Warcraftで滅茶苦茶遊んでますし、League of Legendsも無限に遊んでいますし、同様に原神、Valorant、Valheimも遊んでいるので…。
新拡張やコアセットがでたら、また挑戦すると思います。
Q: アメリカ地域でゴールデンセレブレーションを手に入れる方法はありますか?他は全部持っているのです!
A: 大型大会で上位入賞(※)することで得ることができ、デザインチームにも3人持っている人がいます。
(※公式から明確に示された基準はないが、マスターズツアーでTop8に入るか、グランドマスター入りすることで受け取れる)
Q: コルクロンの精鋭やウルフライダーの突撃が残され、石牙のイノシシとブルーギルウォリアーの突撃が削除されたのは何故ですか?
A: ブルーギルウォリアーと石牙のイノシシは、デザインスペースを非常に狭めていました。この2体はコストが低いため、コンボデッキで悪用されることが多かったのです。
ただ、今回の決定が正しかったかどうかについて検討しています。ワイルドで遊んでいる全てのプレイヤーから受け取ったフィードバックを確認した後、別の解決策を取るかもしれません。 今度のパッチには沢山の変更が含まれており、多くの作業を行わなければならなかったことを覚えておいてください。コアセットは全く新しい試みであり、修正なしで完成することはありえないと考えています。
元となるDean Ayala氏のツイート
Late start tonight! Ask me a question about Hearthstone and I will try my best to answer. More likely I can answer your question if it relates to game design in some way, but can give other questions a shot.
7:45PM – 8:45PST pic.twitter.com/Je97AsDH1R— August Dean Ayala (@IksarHS) March 4, 2021