開発者が振り返る、2018年の酒場の喧嘩

開発者が振り返る、2018年の酒場の喧嘩

ハースストーンの開発チームで酒場の喧嘩を担当しているjoemag氏が、Twitterで2018年の酒場の喧嘩を振り返っていました。ユーザーには好評だったものもあれば、不評だったものもありますが、開発者視点での意見も面白いものです。

以下、翻訳です。

原文:https://twitter.com/joemag_games/status/1079912379360600064


炎と氷の喧嘩

まずは、ラグナロスとアフーンがタッグを組んで戦いを挑んでくる、CPU相手の「炎と氷の喧嘩」から始めましょう。

ラグナロスとアフーンの掛け合いのタイミングやバランス調整など多くの作業がありましたが、この酒場の喧嘩への取り組みには満足しています。ラグナロスとアフーンが入れ替わるタイミングにはとても苦労しました。

参考:「炎と氷の喧嘩」(2018年7月26日~7月30日)

 

釣りバカフィッシング

「釣りバカフィッシング」は、自分のデッキのミニオンが相手の盤面に”釣られて出てくる”という酒場の喧嘩でした。

今年はデッキを制限して挑むという酒場を作成しており、皆が変なデッキを色んな方法で作るというのがとても気に入っています。ソロ・アドベンチャーモードのダンジョン攻略(コボルトと秘宝の迷宮)で実装したタッドのロッドが、ここで活躍しました。

参考:「釣りバカフィッシング」(2018年5月31日~6月4日)

 

別次元へのポータル

「別次元へのポータル」は、事実上”スタークラフトの喧嘩”で、スタークラフトの勢力であるTerran(テラン)・Protoss(プロトス)・Zerg(ザーグ)に模したミニオンを不安定なポータルのようなカードから出現させます。

面白い酒場の喧嘩でしたが、どのポータルが強いかなどに注目した議論がユーザー間で行われることを期待していました。

ポータルから出てくるカードプールは雰囲気で作成し、メカはテランポータル、ザーグはねばねば、べとべとしたモンスターを意識しました。バランスは特に考えていませんでしたが、多様なカードを入れることにより改善されていたと思っています。

※この酒場の喧嘩はスタークラフトらしさが全くなかったためプレイヤーから不評を買い、redditで炎上していました。

参考:「別次元へのポータル」(2018年3月22日~3月26日)

 

チェスの親善?試合

「チェスの親善?試合」は、チェスの駒で戦う酒場の喧嘩ですが、6種類のカードを仕込むことが出来ます。私はそれらに愛情を込め、”チーターのチェス”と呼んでいます。

少ないカードのデッキはいつも楽しく、素晴らしい実験が可能です。私はテーブルの下にイカサマカードを仕込んでおくというアイディアが大好きで、多くの面白い対戦が行われていました。

参考:「チェスの親善?試合」(2018年6月28日~7月2日)

 

ボスバトルロワイヤル2

2度目のボスバトルロワイヤル2では、シンドラゴサ、ピュートリサイド教授、トグワグルに新しい要素が追加されました!

最初のボスバトルロワイヤル2ではシンドラゴサがあまりに強く、全てを兼ね備えていました。そのため、2回目のボスバトルロワイヤル2では、彼女をいかに弱くするかがカギとなりました。なお、トグワグルのバランスが意外と取れていたのに驚いています。

※ 1度目のときのシンドラゴサのヒーローパワーは画像の通りで、相手の盤面が何もできない氷のブロックで埋まってしまう強力なものだった。

参考:「ボスバトルロワイヤル2」(2018年10月11日 ~ 10月15日)

 

マーロック大洪水

マーロック大洪水は、ランダムなマーロック達で構成されたデッキです!

私は意図していませんでしたが、この酒場の喧嘩はハースストーンチームが望んでいたものでした。この酒場の喧嘩が面白くなるにはマーロックの種類(カードプール)が増える必要があり、それに数年かかったのです。ただ、大いなるマークアイが強すぎました…。

”マークアイが強すぎた”というのは面白いこでもありますが、酒場から取り除くという選択肢を選ぶこともあります。

酒場の喧嘩では元々考慮しなければならないものもありますし、プレイヤーが手にして初めて問題になるようなものもあります。私たちは常にそういった考えを持っています。

参考:「マーロック大洪水」(2018年11月08日 ~ 11月12日)

 

君を見つけたモンスター

「君を見つけたモンスター」は、ランダムなウィッチウッドのボスになって遊ぶ酒場の喧嘩です!

最初はボスバトルロワイヤルのように作られましたが、ランダムなボスはボスバトルロワイヤルよりうまく機能しました。元々ボスの強さに差があるのは知っていました。ただ、ランダムにすることで皆さんが全てのボスを試してみるのか知りたかったのです。

参考:「君を見つけたモンスター」(2018年10月18日 ~ 10月22日)

 

未鑑定の喧嘩

「鑑定の喧嘩」は未鑑定アイテムが盛り沢山!

私はこの酒場の喧嘩で学んだことがあります。コボルトと秘宝の迷宮の開発中、私は”未鑑定”というメカニズムに注目していました。ただ、その酒場の喧嘩は(未鑑定の大槌を除いて)上手く機能せず、変な感じになってしまいました。

参考:「未鑑定の喧嘩」(2018年2月1日~2月5日)

 

バ獣フレンズ

DKレクサーのミラーマッチ「バ獣フレンズ」!

最初に作成したのはシンプルなもので、多くのスノーフリッパーペンギンと0マナのヒーローパワーというものでした。もちろん楽しくありません。調整には何か月かかかりました。ゲームは長くなりがちでしたが、出来上がりには満足しています。

私が酒場の喧嘩を作るときにお蔵入りさせることがありますが、「バ獣フレンズ」はそこから出てきたものです。

私たちは、プレイテストを繰り返し、調整を加えそれらをまた繰り返しますが、それでもまたお蔵入りすることがあります。時々それが楽しく感じられることもあります。

参考:「バ獣フレンズ」(2018年6月14日~6月18日)

 

テンポラス・シフト

「テンポラス・シフト」は恐らく酒場の喧嘩にぴったりです。全てのターンは2ターンになります。

私はシンプルな変更を加えた酒場の喧嘩が大好きです。ハースストーンの舞台となっている酒場で、ローカルルールを使って遊んでいるような幻想を得られます。と言っても、先行が大きく有利なため、またこの酒場の喧嘩を行うことがあれば考慮が必要でしょう。

参考:「テンポラス・シフト」(2018年11月15日 ~ 11月19日)

 

返品と交換

「返品と交換」はデッキを相手に贈りますが、返品することもできます。

この酒場の喧嘩は、返品行為も含めとても気に入っています。冬至祭を直接イメージする酒場の喧嘩でないかもしれませんが、今まで見たことが無い何かを感じました。

それと、酒場の喧嘩の黒板のイラストも気に入っています。私はチームのグラフィッカーに絵を提供することもあり、今回は”え…、靴下?”と彼らが言っている絵を描きました。

参考:「返品と交換」(2018年12月20日 ~ 12月24日)

 

マジウザ黙示録

「マジウザ黙示録」は炉端の喧嘩限定の酒場の喧嘩です。無限のマジウザ・オ・トロン軍団が襲ってきます!

私は炉端の喧嘩限定の酒場の喧嘩もたくさん作るつもりです。それらは普段とは全く違う遊び方を体験できるでしょう。

去年のGamescomに「酒場 vs リッチキング」が登場したように、今年のGamescomには「マジウザ黙示録」が登場しました。本当は「酒場 vs リッチキング」のような協力型ものを望んでいたのですが、より管理しやすく面倒くさくないハイスコア制のものにしました。

私は炉端の喧嘩を作るのが大好きです。炉端にあるものは特別で、色々なことが試せます。是非炉端の集いで遊んでみて下さい。炉端の集いが近くに見つからない場合は、友達と非公開のプライベートな炉端の集いを作ることも出来ます。

参考:2018年9月の炉端の喧嘩: マジウザ黙示録!(公式blog)

 

最後に

今年も酒場の喧嘩を遊んでくれてありがとう!

酒場の喧嘩をデザインできること、その機会があること、学びより良い酒場の喧嘩を作れることがどれほど幸運であるか、決して忘れません。

2018年は成長した酒場の喧嘩をお見せできたと思います。また2019年にお会いしましょう!