開発者のDean Ayala氏がコミュニテイの質問に回答(7月19日)

開発者のDean Ayala氏が自身のTwitterにて、ユーザーからの質問を募りそれぞれに回答しました。

以下、それらの質問と回答の日本語訳です。


Q: パッチ23.2.2からパッチ23.6の間に、40日間で36枚の新カードと32枚の変更がありました。この変化のサイクルについてなにか意見はありますか?問題があったと思っていますか?また、このサイクルを修正する予定はありますか?

A: 私達は間違いなく以前とは違う世界にいます。以前は、カードの調整をプラスの要素がマイナスの要素を上回るときだけに行うネガティブな事だとみなしていました。最近ではカードの調整のネガティブな部分は、非常に稀なものだとみなされています。

その考えは、様々な小さな上方修正を加える要因となります。最終デザインチームの @Chakki_HS@AlecoGereco はこの考え方の変化を確実に認識しています。とはいえ、彼らがどう考えるかは彼らに任せます。

Q: 闘技場に新カードが数日早く登場することはないのでしょうか?過去に何回あったか覚えていませんが、早く新カードを遊べたら面白いと思います。

A: 今これをやるには、いくつか技術的な問題があると思います。@Celestalon@themattlondonに聞くと良いと思います。

今のハースストーンでは、まだ準備段階の「~.0 パッチ適用日」と、新拡張が実際に開始する「コンテンツロック解除日」を設定しています。以前、闘技場に新カードを早く登場させた時は、~.0パッチより後でコンテンツロック解除より前の日だったと思います。

Matt London:やれます!今皆で話し合っているところです。ナスリアの次の拡張で実現できるかもしれません!

Q: それはよかったです。ついでの質問ですが、ナスリアリリース後に闘技場で禁止されるカードはありますか?

Matt London:ほかに忘れているかもしれませんが、貪食のデヴォーラーとレナサル太子は禁止されます!

貪食のデヴォーラー | Insatiable Devourerレナサル太子 | Prince Renathal

Q: 取り組みたいことリストの進捗はいかがですか?

Ayala's list

A: 実はかなり良いです。

これらの中のいくつかだけですが、既にリリースされたり、リリースが近づいているものがあります。ですが、間違いなくこのリストのものから取り組んでいます。

Q: メタの一部に対抗するため、あるいはメタの一部を助けるために、後の拡張セットのカードを作ることはよくあるのでしょうか?例えば翡翠の偶像対策の待ち伏せのガイストです。他にも似たような目的で作られ、リリースされなかったカードはありますか?

翡翠の偶像 | Jade Idol待ち伏せのガイスト | Skulking Geist

A: やや珍しいことです。既存の強力なアーキタイプを更に強化しないよう変更を加えることはよくあります。基本的には、プレイヤーに対策カードを1枚渡すよりも、その強力なアーキタイプを弱体化させる方が良いでしょう。

Q: いくつか質問があります!
1. ゲームディレクターとしてのあなたの役割はどのように変わりましたか?
2. 各ゲームモードの「成功」をどのように評価しますか?また、それに関連して各ゲームモードをサポートするためのリソースの量はどのように決定しますか?
3. 新しい酒場の喧嘩はいつ登場しますか?

A: 1. 将来の計画に関する仕事(今後1〜3年)が増え、現在の仕事は少なくなりました。

2. 多くはデータで評価します。プレイヤーはこのモードをプレイしてるか?以前よりも少ないか、多いか?プレイヤーはこのモードが好きか?このモードは収益を生み出すか?

これらの問いを理解した後で、サポート方法を決定する必要があります。通常起こる問題は、何かをサポートする必要があるかどうかではなく、そのことをサポートする才能のある人々が他の場所でより有効に活用できるかどうかです。

3.正直なところわかりません….酒場の喧嘩は、そこに割くリソースを他の場所で使うために停止しているものの良い例です(デュエル、~の書、開発中の新しいものなど)。@themattlondon が知っているかもしれません!

Matt London:私たちは新しい酒場の喧嘩に関して、活発な開発を行っています。 新しいものはそれほど多くありませんが、現在作業中のものがいくつかあります。 酒場の喧嘩は収益としては低く、全盛期のリリースリズムに戻る可能性は低いという、Ayalaの意見は合っています。ただ、その代わりに新しいエキサイティングなことに取り組んでいます。

Q: 次の拡張セットの興奮度を10段階で教えてください。また、現時点でどれくらい先の拡張セットまで手を付けていますか?

A: 私たちがある程度取り組んでいる未来のセットの中で最も先のものは、2024年の最初の2つの拡張です。カードデザインは行われていませんが、その2つのセットの物語を探っています。カノンの世界観についてWoWチームと話しましたが、まだまだ初期段階です。

この初期段階の構想が実現する可能性は10%以下です。私たちはかなり早い段階でいくつかの物語を考え始めています。

次の拡張セットの興奮度は10です!

このセットでは、私はマネージャーであり、将来のプランナーとなりました。ですので、私の興奮はセットの全てを担当した @Songbird_HSとチームを誇りに思っていることによるものです。彼らは本当に良い仕事をしました。

Q: 私の妻は妊娠5ヶ月です。未来の父親にアドバイスはありますか?

A: 難しいでしょうが、あなたは父親としての仕事をすることができます。また、あなたの妻をサポートしてください。彼女は基本的に人生の大きな瞬間を経験することになり、赤ちゃんはあなたよりも彼女を必要とします。

Q: 好きなアニメの戦闘シーンはなんですか?そしてその理由は?

A: 良いものが沢山ありますし、アニメの質問なので、それに答えるために出発しなければ…

Q: マーベルスナップ(Marvel Snap)で一番好きなデッキはなんですか?また、コレクションレベルはいくつですか?

A: コレクションレベルは900くらいだと思います。オーディン/ホワイトタイガーデッキが好きです。でも、クエストを完了するために各マナコストが2つあるジャンキーなデッキをプレイしています。

Q: (アニメの)進撃の巨人の最近のシリーズについてどう思いますか?

A: このクオリティのエンターテインメントの着地点を決めるのは本当に難しい気がします。私は最新のシーズンを楽しみましたが、終わると思っていたのに、また別のパートシーズンだと騙されたことがちょっと癪に障りました。

もっとリヴァイを…でも、あなたの質問に答えるなら、とても良かったです!10点満点で8点!

Q: @maro254 (マジック:ザ・ギャザリングのデザイナー)と、カードデザインのポッドキャスト/ワークショップを行うことを検討したことがありますか? 2つの大手カードゲームのリードデザイナーから、創作について、あなた達で共通していること、あなた達で異なっていることなどについて考えるのを聞くのは本当に素晴らしいと思います。

A: ハースストーンについての「10 years, 10 lessons(10年の10レッスン)」の話をすることで、@maro254について考えていました。彼は「20 years, 20 lessons(20年、20レッスン)」の話をしましたが、これは私が今まで聞いた中で最高のデザインの話かもしれないと思っています。

でも、恐らくないでしょう。Rosewaterは素晴らしい作家、ストーリーテラー、そしてスピーカーです。私は….インターネットミームの巧妙な使用方法…そのようなものにもっと興味があります…

Q: エルデンリングの成功は、次世代のオープンワールドRPGにどのような影響を与えると思いますか?

A: 中程度の影響だと思います。エルデンリングのようなゲームを成功させるのがいかに難しいか、人々は過小評価していると思います。スマホゲームではなく、それは文字通り、どんな方向にも何か面白いものがあるということです。

ゲームの世界で面白く感じる部分は、大抵ほんの一部です。残りの部分は楽しそうに見えるだけで、プレイヤーは面白い部分をガイドに沿って案内されるだけです。そのガイドを削ると、プレーヤーがゲームを楽しむためには、ゲームの世界の80〜90%がプレイヤーの興味をそそる要素にならなければなりません。

エルデンリングは傑作です。誤解しないでください。彼らはこの巨大な世界を作り出すことができ、私はその中のほとんどどこでも探検することができ、私は見つけたものに喜びました。多くの開発スタジオがこれをやるのは困難でしょう。

Q: 普段、同時に3つの拡張セットの開発が行われていると言われています。バトルグラウンドの大きな更新のサイクルはどうですか?一度に1つですか、それとも同時にいくつかの作業を進めていますか?

A: まだ一度に1つか2つです。プレイテストの時間を改善して拡張作成スケジュールに組み込むのにほぼ10年かかりましたが、バトルグランドのコンテンツの作成に多くの改善が必要でした。私たちの目標は、最終的に拡張セットのサイクルと同じにすることです。

Q: 場所の開発背景を教えてください。このカードタイプは、どのように、いつ思いつきましたか?インスピレーションはなんでしたか?他のデザインよりも難しい要素はありましたか?また、現在開発中の他のカードタイプはありますか?

泥溜め | Muck Pools城の犬舎 | Castle Kennels

A: 最初の挑戦は歴戦のアルタラックで発生しましたが、あまり楽しいデザインが見つからなかったため、一旦中止しました。 2回目の挑戦はは深淵に眠る海底都市で行われましたが、ユーザーインターフェースの問題を解決するための時間が不足したため、再び中止しました。そして、ついに最終版が登場します!

場所は信じられないほどの量のプレイテストを経て、愛され、嫌われ、そして愛されました。@Songbird_HS が場所についていくつか話をしてくれるかもしれません。

Cora:一番最初は、荒ぶる大地の強者たちで試しました。そのときは、アクティブにできる「チャンピオン」だったのですが、魅力的ではなかったのです。そして、アルタラックと海底都市で再び試し、ナスリアで正式登場させることにしました。

長い間、場所はミニオン2体分のスペースを占有し、その中にミニオンが入れられる仕組みでした。この場所はミニオンがいるときだけ有効化され、ミニオンが倒れると耐久が失われます。かっこいい仕組みでしたが、実装は本当に難しかったです。

ミニオンが手札にない状態でドローするその場所は最悪のカードでしたが、かなり良い部分も見つけられたので、その仕組みをいつか何かに活かしたいと思ってます。

Q: ハースストーンをプレイしていてティルトしてしまい「なぜこんなものを作ったのか」と疑問に思ったことはありませんか?「はい」の場合、どのカードでしたか?

A: 何度も何度もあります。

主に私が理解していなかったカードを誤ってプレイしてしまった時に起こり、そしてチームを非難します。(私がイライラして、愚かになっている時です)

Q: 発見のゲーム内ガイドを確認したところ、手札にカードを追加することについて述べています。ただ、必ずしも手札で発生するとは限らないはずです。ゲーム内やサイト内でガイドを変更する計画はありますか?

発見

A: ハースストーンのルールは常に、「プレイヤーが理解するのに最適な言葉」対「あらゆる状況において正確に正しいこと」を重視しています。この文章は、すべてのカードの相互作用において正確な定義を表していなくても、発見として伝わると思います。

Q: 新しいプレーヤーの受け入れや定着について、現在のシステムをどのように感じていますか。

A: 悪いです。

現在、新規プレイヤーの受け入れと定着について小さなチームを作っていますが、今のままでは十分とは言えません。

Q: 次のセットでは、これまでよりも沢山の「阻害する」カードがあります。これはデザイン理念の大きな変化を示しているのでしょうか?

A: チームは、これまでよりもリスクに対して前向きになっています。より複雑でより感情のこもったカードは、たとえそれがネガティブな感情であったとしても受け入れています。その結果、私たちはここ1、2年のカードデザインで、それまでの何年にもわたって学んできたことよりも多くを得ることができました。

おそらく、より複雑でない方に寄せていくでしょうが、この阻害系のカードは私が最初に想像したよりも歓迎されているように感じています。このようなカードのリリースは続けるでしょう、ただ精神与奪者イルシアのようなレベルのパワーにはならないかもしれません。

Q: 手札を見せるというメカニズムは、これまであまり研究されてこなかったのが不思議なくらいです。例えば、3マナ4/4だけどもプレイ中に手札の一番左のカードを公開するという欠点を持つミニオンもありだと思います。このメカニズムがデザイン的に厄介で未解明なのはなぜでしょうか?

A: 手札を明かすというのは、実践よりもコンセプトとして面白い要素です。未知数であることは良いことです。相手が何をしてくるのか分かってしまうと、大抵の場合面白い選択肢は少なくなります。

Q: 新拡張にアンデット種族がいなかったのには驚きました。ハースストーンにアンデットはいつか追加されるのでしょうか?もしかして、アンデットというくくりが曖昧で他の種族と重複してしまいますか?

A: アンデットはリベンドレス(WoWの地域)固有の種族ではありません。種族の追加には間違いなく前向きですが、その種族にふさわしい拡張セットのテーマを見つけなければなりません。

Q: ゲームディレクターの仕事はどんな感じですか?ハースストーンをこれからどうしたいですか?

A: いい感じです。新しいことも、慣れ親しんだことも沢山あります。

ハースストーンについてですが、基本的には70~80%を既存コンテンツの洗練に費やし、残りの20~30%を皆さんを驚かせる新しいものに費やしたいと思ってます。

現在のハースストーンのコンテンツ管理は多岐にわたるため、新しいことをするのが難しくなっています。新しいモードを作ると、沢山の維持管理が発生します。そして新しいことに取り組む時間が少なくなるのです。

チームは拡大していますがエキサイティングな新コンテンツを作る余裕はそれほどありません。それは、私たちが作るコンテンツは、無限に維持し続けなければならないからです。

プレイヤーが好きなことや改善してほしいと思っていることが何かを考え、そこに時間を費やしています。ここに大きな発見があるわけではありませんが、例えば毎月のカードバック報酬に割いているリソースを、他のことに割いたほうがいいのではないかといったことを考えています。

楽しいことと驚きはハースストーンの重要な要素であり、私はそれに応えたいと思ってます。


このQ&Aセッションは、2021年の1月14日から定期的に開催されており、今回も多くのユーザーから質問が集まっています。過去の質問・回答は、以下の記事をご覧ください。

2021年
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2022年
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Dean Ayala氏のTwitter: @IksarHS

元となるDean Ayala氏のツイート